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» 2014年08月20日 10時00分 UPDATE

TECHNO-FRONTIER 2014 特別企画ブースリポート(ベッコフオートメーション):PC制御の高速性と柔軟性でモノづくりに革新を!―― 革新的な搬送システムも投入

「超高速・高同期・省配線」などの特徴から注目度が高まるオープンなフィールドネットワーク「EtherCAT」。そのEtherCATの“生みの親”であるドイツBeckhoffの日本法人がベッコフである。EtherCAT関連機器や新たなリニア搬送システム「XTS」の展開なども披露したベッコフ社長の川野氏に、「TECHNO-FRONTIER 2014(テクノフロンティア2014)」で話を聞いた。

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PCベースの制御システムを世界中で展開

 イーサネット(Ethernet)をリアルタイム拡張したオープンなフィールドネットワークであるEtherCATは、「超高速・高同期・省配線」や「統合型PC制御との親和性」などの特徴からオープン化が進む産業用オートメーションの世界においてますます注目度が高まっている。そのEtherCATの“生みの親”であるドイツBeckhoff Automation(以下、Beckhoff)の日本法人がベッコフオートメーション(以下、ベッコフ)である。

 ドイツ北西部のVerl(フェアル)に本社を置くBeckhoffは、全世界で約2500人の従業員を擁しており、日本を含めて33カ国に現地法人を置き、パートナーを含めると60カ国以上でビジネスを展開している。2013年のグローバルでの事業規模は約600億円で毎年平均20%以上の成長を見せる。成熟した産業用オートメーション市場において異例ともいえる勢いで成長を続けている企業だといえる。

photo ベッコフオートメーションの代表取締役社長、川野俊充氏(クリックで拡大)

 ベッコフの代表取締役社長、川野俊充氏は「世界中でサービスを提供していますので、日本国内はもちろんのこと、海外に工場を置くケースや取引先が海外のケースでも現地でサポートができる体制を整えています」と強みを語る。

 PCベースのオープンな自動制御システムを提供している同社では、産業用PCから各種フィールドバス対応I/O、ドライブテクノロジー、制御ソフトウェアなど豊富な製品ラインアップを取りそろえている。これらの製品は、単体の機器として使用するだけでなく、複数の製品を組み合わせた1つの制御システムとしてシームレスに活用できることから、多種多様な産業のニーズに応えられるものとなっている。導入実績はさまざまな業界のあらゆる分野に及んでいるが、特に半導体業界や射出成形機、工作機械、包装機器、充填機、風力発電機などセットメーカーと呼ばれる装置メーカーでの採用が目立つ。

 「特定分野に依存していないことも当社の特徴の1つだと言えます。またPCアーキテクチャに基づいた制御システムを提供しているので、ハードウェアの制約が少なくソフトウェアによる自由な制御が低コストで可能になります。こうした柔軟性や総合的なコストパフォーマンスに優れている点も評価いただいています」と川野氏は強調する。

グローバルに浸透する標準規格EtherCAT

 同社では、世界中で使用されるCNC 制御工作機械から高度なビルディングオートメーションまで、幅広い用途に応用できる汎用的でオープンな自動制御ソリューションを意味する「New Automation Technology」を提唱している。そのコアテクノロジーとなるのがEtherCATである。EtherCATは、企業内LANなどで広く普及しているネットワーク規格であるEthernetに、リアルタイム性を機能拡張した産業用オートメーションのための通信規格。標準品で12.5μ秒のサイクルタイムが実証されている高速性、μ秒未満で保証されるノード間の同期性能、I/Oやモーション・セーフティ機器を同一のネットワークに混在できる省配線などが最大の特長となっている。

 以前からフィールドネットワークの規格は乱立し相互接続性があまりに低かった。その反省から標準化が進んできているが、標準規格自体の数が多いために、産業用オートメーション機器メーカーはさまざまな標準への対応に迫られているのが現実だ。こうした中、EtherCATはグローバルに浸透して幅広い業界からの採用企業が日本にも多い。そのため、高速で制御が柔軟、省配線といった特徴と合わせて存在感を増しているという背景がある。

 EtherCATは相互互換性を保つことを目的に、2003年に設立された「EtherCAT Technology Group(略称:ETG)」によって、機能要件や認証手順などが規定・管理されており、その規格はIECやSEMIなどの国際標準の認定を受けている。ETGの加盟企業は、国内384社、世界では2920社にも及び、加盟は無料である。会員となることでEtherCATの仕様書をはじめとする開発に必要なさまざまな情報が入手できる他、将来の仕様拡張の検討にも参画が可能だ。

photophoto ベッコフが展開するEtherCAT関連製品。リアルタイムPC制御を行うソフトウェア「TwinCAT」(左)とマルチコアプロセッサ搭載のモジュール式組み込み型コンピュータ「CX2000シリーズ」(右)

 ベッコフでは、EtherCATの汎用デバイスやソリューションを販売するだけでなく、EtherCATに準拠した製品の開発を行う同業他社に対しても開発に必要な製品や技術サポートを提供している。

 「ETG会員となっている日本メーカーも、独自のデバイスを開発するなど特徴のあるシステムを顧客に提供しています。当社のビジネス戦略も、EtherCATを業界に浸透させてマーケットを拡大することと、そこに対して特徴と汎用性のあるPCベースのコンポーネントを販売することという両輪にあるのです」(川野氏)。

 日本に現地法人を設立して4年目となるベッコフのオフィスは、技術研修用のトレーニングセンターや保守サポートのためのサービスセンター、実際に製品に触れることのできる製品ギャラリーなどを備えている。現在、EtherCATを採用する国内セットメーカーやサプライヤはもちろんのこと、ユーザー企業による採用も増えつつあるという。

 「PC制御のEtherCATでは、既存のPLCでできることに加えてモーションコントロールや画像処理など多様な機能を統合して作り込めることから、自社の装置や製造設備を差別化できる要素として採用いただく国内企業が多くなっています。今回のTECHNO-FRONTIER 2014では、そうした採用事例を見ていただくのと同時に、EtherCATの実力を引き出せるPC制御ならではのメリットを示していきたいですね」と川野氏は語っている。

photo EhterCATの事例やPC制御の利点を訴えたテクノフロンティア2014のベッコフブース(クリックで拡大)

高速、シンプルなリニア搬送システム「XTS」を国内初披露

 このEtherCATの技術を生かした新たな製品が、2014年8月発売のリニア搬送システム「XTS (eXtended Transport System)」だ。TECHNO-FRONTIER 2014おいて国内で初披露した。XTSは、リニアモーターとロータリモーターのそれぞれの特徴を兼ね備えたこれまでにない革新的なドライブテクノロジーだ。その主な特徴は次の3つとなる。

  1. 高速・独立に可動子を電子制御
  2. 省配線で非常にシンプルなシステム構成
  3. 高い拡張性
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 XTSの配線は電源ケーブルとEtherCATケーブルのみとなっており、コントローラーも汎用的な産業用PCとソフトウェアPLC/NCだけというシンプルさである。リニアモーターシステムの可動子は無配線であるため、機械的な制約を大幅に解消している。円周上に配置すればエンドレスな走行も可能だ。また摩耗が少なくメンテナンス性が高いのも大きなメリットとなっている。

 拡張性について具体例を挙げると、EtherCATの高速な通信速度を生かすことによる、産業用ロボットやセンサー、モーター軸などとの連携作業やOPC-UAなどによる状態監視やリモートメンテナンスがある。

 川野氏は「XTSは、PCベース制御とEtherCATによる、高速で正確な動作を実現します。高速な搬送と多くの制御を同時に実現できるその性能を少しでも多くの方々に知っていただきたい」と語る。

 コントローラーがPCであるため低コストな上に、EtherCATで高速に同期を行うことで従来の機械ベースの搬送システムでは難しかった複雑な制御を電子的に実行することが可能だ。また、装置を小型化できるため、これまで複数のワークステーションで実施していた作業が1つのステーションで全て完結できるのである。

 「機械的な仕組みを作り込む部分を少なくできるため、製造ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応することができます。機能もソフトウェアで追加・変更できるため、機械の設計変更を最小限に留めつつ機能や性能の向上も実現します」(川野氏)。

photo リニア搬送システム「XTS (eXtended Transport System)」(クリックで拡大)

 さらに、メンテナンス性の良さも特徴だといえる。機械的な装置であれば、職人的な技術や“カン”が求められていたのが、XTSであればそうしたノウハウを電子制御のアルゴリズムに収めてしまえる。設置やメンテナンスに求められるスキルを一般化することができるため、メンテナンスの労力やコストを抑えられる。さらに、要員の確保が難しい海外での運用のハードルも大幅に下げることができる。日常的にシステムをモニタリングすれば、メンテナンスが必要な時期を事前に把握する予知保全も行えるのである。

 XTSは、250mmの直線モジュールに30軸分のサーボドライブを搭載しているが、周回上に並ぶこの無数のコイルのリアルタイムな同期制御は、通信に高速なEtherCATを利用し、高性能なPCで制御アルゴリズムを実行するから可能になった。バックグラウンドでのコイルの制御などは全てファームウェアが行うので、ユーザー側は可動子の位置決め制御のプログラミングを行うだけでよい。

 「日本のお客さまは要求レベルが非常に高いのでとてもやりがいがあります。XTSの革新的な活用法が国内から誕生することにも期待しています」と川野氏は訴えている。

「インダストリー4.0」を日本のモノづくりの世界に広めたい

 今後について、新たなテーマとして掲げているのが「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」を強く意識した活動だ。インダストリー4.0については、ドイツ政府が2011年から同国の主要企業を含む産官学の多くの企業や団体を巻き込んでプロジェクトを立ち上げたことから大きな注目を集めている。その目指すところは、今までにない「スマート工場」を実現することであり、Beckhoffもプロジェクトに参画している。

 川野氏は「ドイツの技術を日本に紹介することで、国内の製造業の生産性向上に貢献することがわれわれのミッションです。ですから、インダストリー4.0の内容はもちろん、裏話なども含めてその実態について日本のお客さまに伝え、それによって何らかの刺激を生み出し、それぞれの顧客企業のビジネスの生産性向上に寄与したいと考えています。そうした流れの中で、当社のビジネスもともに成長していくことが目標です」と力強く宣言している。

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提供:ベッコフオートメーション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年9月19日

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