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» 2014年09月03日 10時00分 UPDATE

EV用充電器の通信規格ISO/IEC 15118とは(後編):「コンボ」のプロトコルと充電シーケンス (1/4)

欧州や北米の自動車メーカーが採用を進めている電気自動車(EV)用充電規格である「コンボ」。その通信プロトコルはISO/IEC 15118として国際標準になっている。前編で取り上げたISO/IEC 15118の概要や規格策定状況に引き続き、今回の後編では、ISO/IEC 15118のプロトコルと充電シーケンスについて解説する。

[竹本順一(ベクター・ジャパン),MONOist]
EV用充電器の通信規格ISO/IEC 15118とは

 欧州や北米の自動車メーカーが中心になって規格策定を進めている、普通充電と急速充電を1つのコネクタで行える「Combined Charging System(コンボ)」。前編では、欧州向けコンボにおいて、電気自動車(EV)と充電スポットの間をつなぐ通信プロトコルとして使用されているISO/IEC 15118の概要や規格策定状況について紹介しました。

 今回の後編では、国際標準として発行された接触充電のプロトコルの概要とシーケンスについて説明します(なお、以下の説明で出てくるISO/IEC 15118-3については、現時点では「発行予定」となっています)。

電力線通信がベースながら通信に電力線は使用せず

 ISO/IEC 15118の物理層とデータリンク層の要件は、ISO/IEC 15118-3で規定されており、IEEE 1901 Profile Green PHYとIEEE802.3 MACを使用します。IEEE 1901 Profile Green PHYは、IEEE 1901準拠のプロファイルの1つであり、HomePlug Powerlineアライアンスが電力線通信(Power Line Communication:PLC)技術をベースにHomePlug Green PHY(HPGP)として策定したものです。

ISO/IEC 15118のプロトコルチャート ISO/IEC 15118のプロトコルチャート(クリックで拡大) 出典:ISO-TC22-SC3-JWG1

 HomePlug Green PHY Version 1.1は、デジタル家電の映像/音声データ伝送用に規格策定されたHomePlug AVを基に、電気自動車(EV)の充電に適した仕様となるように、コストや消費電力、複雑さなどを改良しています。イーサネットフレームを使って、上位層との間でデータをやりとりできるので、IP通信ネットワークとの親和性があります。

 ISO/IEC 15118は、物理層に電力線通信技術を使用しているものの、電力線を用いた通信は行っておらず、充電スポットの専用信号線を流れるPWM信号(Control Pilot信号)に重畳する方式を採用しています。

 ネットワークとアプリケーションプロトコルの要件はISO/IEC 15118-2で規定されており、プロトコルとしてはIPv6、TCP/UDP、TLS(Transport Layer Security)、V2GTP(Vehicle to Grid Transfer Protocol)、EXI(Efficient XML Interchange)などが使用されます。アプリケーション層のメッセージのペイロードは、車両がEV用充電スポットのIPアドレスとポート番号を取得するために使用するものと、充電シーケンスに使用するものがあります。それらのメッセージに加えて製造者固有のメッセージもあります。

 充電シーケンスに使用するメッセージをV2Gメッセージと呼びます。V2Gメッセージは、XML形式で記述され、それをEXIでバイナリにエンコードして送受信します。

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