100トン運べる電動式重量物搬送車両、リチウムイオン電池はGSユアサ製電気自動車

GSユアサは、同社のリチウムイオン電池モジュールが、日本車輌製造の電動式重量物搬送車両「NeGEM(ネジェム)」に採用されたと発表した。

» 2014年09月04日 09時00分 公開
[MONOist]
日本車輌製造の電動式キャリヤ「ネジェム」

 GSユアサは2014年9月3日、日本車輌製造が同年7月に発売した電動式の重量物搬送車両(キャリヤ)「NeGEM(ネジェム)」に、GSユアサ製のリチウムイオン電池モジュールが採用されたと発表した。

 キャリヤは、製鉄所や造船所、発電所などで大型重量物を運ぶのに用いられている。日本車輌製造は、1971年の1号機から数えて360台上のキャリヤを納入している。積載重量は、単車で70〜700トン、組み合わせ可能なユニットタイプの車両は最大5000トンにもなるという。

 キャリヤの駆動方式は、ディーゼルエンジンなどを用いた油圧式が主流だ。しかし、厳しい稼働条件のもとで経年変化による老朽化が進むと、油圧機器のトラブルや配管から油漏れが発生し、保守コストが増大するという課題があった。

 新開発のネジェムの駆動システムは、油圧機器を用いない替わりに、新開発の永久磁石モーターとリチウムイオン電池システム、エンジン駆動発電機から構成される。これによって先述した油圧式の課題を解決するとともに、短時間稼働させる場合には外部充電が可能なリチウムイオン電池の電力だけを使った排気ガスの出ないクリーンな輸送が可能になる。また長時間稼働させる場合では、エンジン駆動発電機を使うものの、油圧式と比べて燃料消費とCO2などの排出ガスを30%削減できるという。

日本車輌製造の電動式キャリヤ「ネジェム」 日本車輌製造の電動式キャリヤ「ネジェム」(クリックで拡大) 出典:日本車輌製造
「ネジェム」に採用されたGSユアサのリチウムイオン電池モジュール「LIM50E-8」 「ネジェム」に採用されたGSユアサのリチウムイオン電池モジュール「LIM50E-8」(クリックで拡大) 出典:日本車輌製造

 ネジェムのリチウムイオン電池システムは、日本車輌製造とGSユアサが共同で開発したもので、電力容量は57kWh、公称電圧は592V。GSユアサのリチウムイオン電池モジュール「LIM50E-8」を20直列×2並列で組み合わせている。

 なお、LIM50E-8は、電流容量が47.5Ah、公称電圧が29.6V、最大充電電流が125A、最大放電電流が300A。重量は17.5kgで、外形寸法は幅215×奥行き414×高さ135mm。使用周囲温度範囲は放電時が−20〜40℃、充電時が−10〜40℃、使用周囲湿度範囲は0〜90%となっている。

 電池以外のネジェムの仕様は以下の通り。外形寸法は全長13.6×全幅2.7×全高1.6m、車両重量は28トン。積載重量は105トンとなっている。速度は空車時で時速20km、積載時で時速15km。駆動軸数は2軸(4ユニット、8輪)、制動軸数は3軸(6ユニット、12輪)。荷台昇降量は±300mm。エンジン駆動発電機の出力は60kWである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.