富士通研、生産ラインの画像認識プログラムを自動生成する“業界初”の技術を開発FAニュース(2/2 ページ)

» 2014年09月09日 17時45分 公開
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機械学習を効率化する技術

 そこで富士通研究所では新たな工夫により機械学習を効率化する技術を開発。プログラムを構成するさまざまな画像処理関数の組み合せ手順を制限し、形状の類似性に基づいて機械学習させることで、位置検出に適した画像認識プログラムを自動生成できる手法を生み出した。

 機械学習を効率化するため開発された具体的な技術や工夫は以下の3つとなる。

自動生成されるプログラムの木構造の生成

 目的の画像を得るプログラムは、画像処理関数の木(ツリー)構造の組み合わせで構築する場合が多いが、従来手法ではこの組み合わせが無限大に近く、実用的な時間で学習することが困難だった。今回の新技術では、木構造を構築する際に、処理の種別や流れといった特徴強調などの専門知識をベースにして処理手順の制限を与え、学習の時間短縮を行った。これにより組み合わせの数を大幅に削減し、目的のプログラムを短時間で生成することに成功した。

photo 自動生成されるプログラムの木構造の制限方法(出典:富士通研究所)

生成されるプログラムの評価方法

 自動生成の過程で作られるプログラムを評価するために、部品の形状とその類似性を評価する技術を開発。例えば、直線検出の場合は、その傾き(θ)と位置(ρ)が目的に合っていれば良いため、多少画質が悪くても位置検出に適したプログラムを自動生成可能となる。

photo 生成された画像の評価方法(出典:富士通研究所)

学習データの選択方法

 学習データである学習用入力画像と目的画像のペアを必要最小限とし学習時間を短縮するために、学習候補の複数の画像を、明るさ、コントラスト、きめ細かさなどの特徴量を用いて分類。各分類から代表的な画像を選択することで、少ない学習データで画像の変化に対応できるプログラムを生成可能とした。

photo 学習データの選択方法(出典:富士通研究所)

認識率が倍増、プログラム修正時間は10分の1に

 これらの技術により、これまで自動化できていなかった部品組み立ての位置認識を対象に同社がトライアル評価した結果、50%未満止まりだった認識率は97%以上に向上。また、画像認識プログラムの修正時間も従来比で10分の1に短縮することに成功した。さらに高い認識率を実現できたことで、部品組み立て時の位置決めバラツキが半減でき、組み立て作業時間も3分の2に短縮できたという。

 今後に向け、同社ではこれらの技術のさらなる高性能化を進め、2015年3月期(2014年度)中に富士通の製造ラインでの実用化を目指すという。また、部品組み立ての位置認識に限らず、部品加工や検査など画像認識を用いるさまざまな製造ラインへ展開することを目指す。さらに、同技術を活用したソリューションとして、車載カメラや監視カメラ、医療用カメラへの展開も進めていくとしている。

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