楽しいリスク分析――熊とワルツを踊るように 【その3】ソフトウェア開発版「災害発生時の対策」山浦恒央の“くみこみ”な話(67)(3/3 ページ)

» 2014年09月30日 11時00分 公開
[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士),MONOist]
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重要なこと

 リスクを乗り切るためのお金を用意できるか、あるいは、発生確率を正確に算出することよりも、圧倒的に重要なことは、「リスクの発見」と「リスクが問題に変わった場合の対処策」です。どんなリスクがあるかをきちんと把握し、起こり得るリスクを全て洗い出し、それへの対策を決めておけば、実際にそのリスクが発生しても、慌てず、冷静に対処できます。この「慌てず、冷静に対処できる」ことが、リスク管理から得られる最大の利点です。

 リスクに敏感な会社では、「ショー・ストッパー」「常連リスク」「組織固有のリスク」をキチンと列記し、その対策手順も規定しているはずです。一種の「災害発生時の避難手順」のようなものです。これに、「プロジェクト固有のリスク」を加えれば、リスクをほぼ管理できることになります。

おわりに

 リスク管理をこれから始める会社もあることでしょう。まずは、ネット検索をして、常連リスクを列挙すると、起こり得るリスクのほとんどを網羅したことになります。それプラス、過去に会社で起きた固有の問題を加えれば、ほぼ「ソフトウェア開発版の災害発生時の対策」ができたことになります。時間は意外にかかりません。早く、安く、リスク管理をしましょう。


【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科助教授、現在に至る。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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