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» 2014年10月21日 10時00分 UPDATE

組み込みにグラフィックの力を:画像処理パフォーマンスが武器、組み込み機器へ多彩な選択肢を用意するAMD

PC向けx86 CPUのイメージが強いAMDだが、元来はさまざまな製品を手掛けるベンダーであり、近年ではARMコアの採用を発表するなど、組み込み機器への注力を強めている。多彩な製品と強力なグラフィック処理、この2つを武器に積極的な事業展開を行う日本AMDに話を聞いた。

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 大画面高精細化の進むデジタルサイネージシステムやカメラによって環境情報を取得するデプスセンサーなど、組み込み機器の領域においても画像・映像を扱う機器は増加の一方をたどっており、内部処理量も同様に増加している。体感的にも分かるよう、画像処理は処理として非常に重く、汎用プロセッサであるCPUだけでソフトウェア処理しようとすると、過度の発熱や消費電力の増大、全体処理速度の低下などを招く。

 最新のPC向けCPUならば高い処理能力を持つことからこれらの問題をある程度は解決することも可能だが、搭載製品の特性上、特に消費電力と発熱に対して注意する必要のある組み込み用プロセッサにおいて、低消費電力と低発熱、そして十分な画像処理能力を兼ね備えたものは少ない。その数少ない例外のひとつが、日本AMDのAPU「AMD Rシリーズ」「AMD Gシリーズ」だ。ちなみに同社では、CPUとGPUを1チップに統合した製品を「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んでいる。

 「AMD Rシリーズ」「AMD Gシリーズ」は1チップにx86アーキテクチャのCPUと同社が買収したATI Technologiesの技術に端を発するグラフィックコアを統合した1チップソリューションで、ATIが元来、3Dグラフィックスを得意としていたこともあり、組み込み用として提供されるプロセッサとは思えないほど、高いグラフィック処理パフォーマンスを発揮する(もちろん、グラフィックレス製品も用意されている)。

 PC向けCPUベンダーとしてのイメージが強い同社ではあるが、歴史をひもとけば1970年にロジックセンター「Am2501」を初の自社製品として出荷して以来、バイポーラ式トランジスタを使用したIC「Am2900」(NASAの木星探査衛星「ガリレオ」にも使われた)や32bit RISCプロセッサ「AMD 29000」、組み込み用SoC「AMD Elan SC400/410」なども投入しており、組み込み機器との関わりも深い。

 そのAMDが近年、さらに組み込み機器への注力を強めている。CPUコアがx86アーキテクチャの「AMD R/G」シリーズAPUに加え、現在はARMコア搭載製品も準備を進めており、2015年にはピン互換性を持つx86/ARMプロセッサを出荷する予定だ。強力なグラフィック処理に加えて、ARMソリューションで組み込み機器へ多彩な選択肢を提供する、日本AMDに話を聞いた。

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組み込み機器におけるAMDの強み

 話を伺ったのは、日本AMD エンベデットセールス セールスエンジニアリング担当マネージャーの岩佐英敏氏とアジアパシフィック・日本担当エンベデットセールス ディレクターの林田裕氏。岩佐氏はPC向けCPUベンダーのイメージが強い同社だが、現在は手掛けるビジネスの40%が組み込み機器を含む新ビジネスであり、今後もそれは増えていくだろうという。

photo APUを有するベンダーとして組み込み市場へ多くの選択肢を提供するという岩佐氏

 「AMDでは創業以来、組み込み機器向けを含めて多種多彩な半導体製品を手掛けています。x86互換製品を投入したことで1980年代後半からPC向けプロセッサの占める割合が増え、組み込み機器向け製品の比率は下がりましたが、近年では組み込み用を含む新ビジネスを加速させています」(岩佐氏)

 組み込み分野への加速で大きな原動力のひとつに挙げられるのが、2006年のATI Technologies買収だ。画像処理において高い技術力を持ち、「Radeon」ブランドの3Dグラフィックチップ(GPU:Graphics Processing Unit)で高い認知を得ていた同社を買収することで、AMDは画像処理に関する高い技術力とそれに付随するノウハウ、さらには市場認知を手に入れており、そのGPU技術は「AMD R/G」シリーズAPUにも実装されている。

 前述したように組み込み機器の領域でもグラフィックス(画像・映像)の取り扱いは一般的なものとなりつつあるが、その処理は汎用プロセッサより、専用プロセッサないし、専用プロセッサを統合した製品に任せる方が電力効率などを考えても効率的だ。

 「組み込み用として考えると、CPUに比べてGPUのほうが性能向上の余地が多く残されていますし、市場からのグラフィックス処理に対する要望はより高まっています。GPUの技術を用いたAPUを今後、積極的に展開していこうと考えています」(岩佐氏)

 グラフィックスに対する要望のある組み込み市場として、同社では「ゲーム機」「デジタルサイネージ」「医用画像処理」「産業機器向けの制御、自動化装置」「シンクライアント」「通信インフラ」の6領域を挙げる。

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 なかでも高い画像処理能力を必要とする、ゲーム、デジタルサイネージ、医用画像処理装置についてはGPUを内蔵したAPUに最適な用例だという。また、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units:GPUによる汎用計算処理)という観点では、画像認識/解析プロセスが必要となる産業機器向けマシンビジョンも有望な用途といえる。

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APUによるパワフルな並列処理

 デジタルサイネージや医療機器といった分野で稼働しているシステムにおいて、1台の機器に接続されているディスプレイが1面という状況は少なく、大半の現場では複数枚のディスプレイが接続されている。近年では流通小売店のレジシステム(POS)でも、マルチディスプレイ機器を採用する例が増えている。

 こうした多画面構成を取る場合にもAMD製品が有利だ。「AMD R/G」シリーズAPUはパッケージ内にグラフィックコアを内蔵していることから多画面出力に適しており、「AMD Rシリーズ」ならば、標準で4ポートの映像出力を備え、さらには、対応GPU「AMD Radeon E8860」シリーズを用意して組み合わせると、デジタルディスプレイを最大9枚まで制御できる。内蔵と外付け、双方の映像出力(ディスプレイコントローラ)を同時利用できる製品は少なく、多画面制御を検討しているならばここは注目のポイントだ。

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 最新製品である「AMD Rシリーズ」APUはアプリケーションの負荷を分散し、CPUとGPU、あるいはビデオデコーダーなど各種アクセラレータで並列処理を行う「HSA(Heterogeneous System Architecture)」を備えており、同種の他社製品に比べても高い処理能力を発揮する。画像処理における人物検出や表情の感知、防犯カメラ映像からのナンバープレート番号抽出など、複数処理が同時発生する用途には、この高い処理能力が遺憾なく発揮される。

 従来ならば、こうした処理はDSPに(ある意味力任せで)対応していたところだが、CPUとGPUのメモリ空間を共有する「hUMA(heterogeneous Uniform Memory Access)」によりCPU/GPU間のメモリコピーが不要となり、1チップでも高い処理能力を発揮できる。また、同社APUはx86ベースのアーキテクチャを採用しているので、OpenCVなどコンピュータビジョン向けライブラリ資産の利用も容易であり、導入に際してのハードルが低いのもメリットだ。

 そのほかのメリットとしては「1チップである」ことも挙げられる。画像処理能力を得ることだけが目的ならば、既存機器にチップを追加するといった手法もあり、その手法でも少なくとも処理結果については、同様の成果を得ることができるだろう。ただ、処理チップの追加は消費電力と実装面積のプラスを招く。「AMD Rシリーズ」APUならば、4K映像を出力可能なチップでもTDP(Thermal Design Power)は最大で35Wと低く抑えられており、発熱量も低い。長時間・長期間稼働が前提となる組み込み機器向けとしては歓迎すべき仕様といえる。

photo 「パワフルなのに1チップであることは大きなメリットです。消費電力と実装面積に大きな恩恵を得られます」(林田氏)

Androidエコシステムへの賛同も積極的に

 現在同社から販売されている組み込み向けプロセッサはCPUコアにx86アーキテクチャを採用しており、ソフトウェア開発という側面からするとWindowsとLinuxの開発者にとって“優しい”といえる。Linuxについては同社が組み込み Linuxの開発を容易に行い、さまざまなアーキテクチャ間で移植できるようにすることを目標にするプロジェクト「Yocto Project」に参加しているほか、Mentor Graphicsとも提携関係にあるため、開発者は組み込みLinuxと開発ツール(Mentor Graphics LinuxやSourcery CodeBenchなど)、それに一部の商用サポートを無償で利用など、充実した環境が用意されている。

 それに2015年にはARMコア搭載製品が投入されることから、同社の組み込み向けAPUはWindowsとLinux、それに加えてAndroidを利用した開発にも適した環境となる。同社はARM向けLinuxの改良を行っている非営利団体「Linaro」に加入しており、Android開発者に向けてのサポートも今後充実させていく考えだ。

 ただ、ARMコアの採用やAndroidのサポートを充実させていくとしても、「ゲーム機、デジタルサイネージ、医用画像処理、産業機器向けの制御と自動化装置、シンクライアント、通信インフラの6領域にフォーカスして取り組んでいく」(林田氏)という姿勢に変化はないという。

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 同社は2014年11月19〜21日に開催される、組み込み総合技術展「Embedded Technology 2014」に出展する。ブースではここで紹介した「AMD R/G」シリーズAPUの活用法として多画面やOpenCL実装によるHSAソリューションを展示するほか、運用に強力なCPU/GPUパワーが必要となる画像暗号化などのセキュリティソリューションも展示する。また、「AMD R/G」シリーズを搭載した産業用マザーボードも展示される予定となっている。

 これまで見てきたように、同社はCPUとGPUを統合した組み込み向けAPUを有するベンダーであり、APUは「多画面」「並列処理」といった、これまでのDSPやFPGAなどのマイコンのパワーではカバーしきれなかった、リッチなソリューションを1チップで実現してくれる。組み込み機器によりパワフルな処理を持たせたい、そんな悩みがあるならば、ぜひET2014の同社ブースを訪れ、最新APUの高い処理能力を体験してみてはどうだろうか。

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x86プロセッサは未使用コアの電力を削減するように設計されるが、パフォーマンス向上のため各コア間の熱資源(消費電力配分)を動的に割り当てることも可能である。

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提供:日本エイ・エム・ディ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年11月21日

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