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» 2014年10月23日 15時50分 UPDATE

OSC2014 Tokyo/Fall:組み込みや電子工作もオープンソースに熱視線、「OSC2014 Tokyo Fall」リポート

2014年10月18〜19日の2日間、「オープンソースカンファレンス2014 Tokyo/Fall」が開催された。このイベントはオープンソース系ソフトウェアコミュニティーのイベントのように見られがちであるが、メイカーブームの影響もあり、組み込み系や電子工作系のコミュニティーの参加も目立ってきた。そのなかでもホットな話題を提供していた、団体のセミナーやブース展示を紹介する。

[今岡通博,MONOist]
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 2014年10月18〜19日の2日間、明星大学日野キャンパスにて「オープンソースカンファレンス2014 Tokyo/Fall」が開催された。オープンソースを支持する協賛企業、メディアスポンサー、後援団体、コミュニティーが122の展示ブースを設け、両日で95のセミナーを展開した。両日とも晴天に恵まれ、2日間で約1500人が来場した。

 オープンソースカンファレンスはオープンソース系ソフトウェアコミュニティーのイベントのように見られがちであるが、この数年のメイカーブームの影響もあり組み込み系や電子工作系のコミュニティーの参加も目立ってきた。そのなかでもホットな話題を提供していた、団体のセミナーやブース展示を紹介する。

次期がじぇるねボード「GR-PEACH」を紹介、SAKURAボードユーザ会

photo 日本マイクロソフトの太田寛氏

 SAKURAボードユーザ会では、「オープンソースリファレンスボード GR-SAKURAとクラウドを用いた開発環境とARM搭載次期SAKURAボードの紹介」と題して、がじぇるねチームの小暮敦彦氏と日本マイクロソフト・エバンジェリストの太田寛氏による講演を行った。

 このコミュニティーはルネサス エレクトロニクスと若松通商による「がじぇっとるねさす」が開発したオープンソースハードウェア「GR-SAKURA」のユーザーグループとして2012年に発足。電子工作好きが集まり現時点で495人の会員を擁する。今回は同会として最もホットな話題である、次期がじぇるねボードの最新動向ということで2人の講師を招いていた。

 小暮氏からは次期がじぇるねボード「GR-PEACH」の紹介があった。Coretex-A9をCPUコアとしたマイコン「RZ」搭載ボードで、Arduino Uno互換バスを備える。開発環境にはクラウド開発環境「mbed」が用意される。マイクロソフトの太田氏からは、今後GR-PEACHへの移植が検討されているマイクロソフトのオープンソースマイコンプラットフォームである.NET Microf Frameworkの紹介と、これをベースにした「Internet of Things Starter Kit」(仮称)(関連記事:マイクロソフト、組み込みとクラウド開発を同時に学べる「IoT Kit」)の紹介があった。

オープンソースのマイコン開発、ドットNETまいくろバンザイ倶楽部

 ドットNETまいくろバンザイ倶楽部では、デバイスドライバーズの日高亜友氏が「オープンソースになったマイコン開発環境 .NET Micro Frameworkの紹介」と題して講演を行った。

 .NET Micro Frameworkはマイクロソフトが開発したマイコン用プラットフォームであり、2008年からオープンソースとして公開されている。Apache v2 Licenseとなっており個人ユースおよび商業目的ともに使いやすいライセンスとなっている。

photophoto デバイスドライバーズの日高亜友氏と.NET Micro Frameworkの紹介デモ

 最大の特徴はマイコン開発環境(クロス開発)でありながらVisual Studioで開発からデバッグまで行えることで、これによりPCのアプリ開発者が組み込み開発を行う際のハードルを下げている。現在までの移植実績と移植の方法についても解説があった。

バイナリで遊ぼう!KOZOSプロジェクト

 「バイナリで遊ぼう! 〜バイナリかるた・アセンブラ短歌・16進クロスワードなど〜」と題したKOZOSプロジェクトの代表 坂井弘亮氏の講演内容について紹介する。

 「KOZOS」とは坂井氏が独自に開発した組み込み用OSである(組み込みOSを自作してみよう!(1):フルスクラッチの“Hello World”を動かしてみよう)

 組み込みには欠かせないアセンブラやバイナリを、「バイナリかるた」や「アセンブラ短歌」「16進クロスワード」など、ゲームや文学にまでしてしまった視点が非常にユニークである。坂井氏はセキュリティキャンプの講師も勤めており、彼らに遊びの中から、組み込みをいかに教えるかという視点から生まれた発想であろう。

photophoto 「バイナリかるた」(写真=左)、「熱血!アセンブラ入門」など坂井氏の著作(写真=右)

FlashAirをハックしようぜ、東芝が自ら紹介

 東芝は「SDカードで無線Lチカ?FlashAirは超ミニマイコン!」と題してフィックスターズの土居意弘氏が講演を行った。

 FlashAirはいわゆる無線LAN内蔵SDカードで、デジカメに差し込めばWi-Fiで撮った写真をすぐに共有できる。その目的のためカード内部にはWebサーバと無線LANアクセスポイントが収納されており、APIも公開されていることから実は電子工作にも利用できる(関連記事:FlashAirはSDカードサイズの超小型Webサーバだ)

 講演ではこの製品を組み込み機器と連携させたり、電子工作での応用したりなどさまざまなアイデアや開発事例の紹介があった。セミナー受講者にはArduino用シールドが配布された。ArduinoでFlashAirを使う際のアダプターである。これを使うと、FlashAirを無線APとして、Wi-Fi経由でArduinoからのLチカができるということである。

photophoto 東芝ブース(写真=左)、FlashAirを無線APとして利用できるArduinoシールドが参加者に配布された(写真=右)

Tokyo HackerSpace

 プログラマー、デザイナー、ミュージシャン、ハードウェアエンジニア、サイエンティストなどが集うリアルなスペースを提供するTokyo HackerSpaceは、「最近のTokyo HackerSpace 〜クアッドコプターも革細工も電子工作もプログラミングも〜 / 組込みソフトウェアからモノづくりへ!」と題し、つかまん氏とサンゴリン・ダニエル氏が講演を行った。

 つかまん氏からは同団体の紹介と現在進行中のプロジェクトやイベントの紹介があり、その後、サンゴリン氏は組み込みソフトウェアの視点から、メイカーブームについて持論を展開した。

 現在は東京メトロ 乃木坂駅から徒歩3分のところにあるガレージを改造した一室が彼らの活動拠点だ。床がコンクリートで簡易的なファブリケーションも行える設備も備える。メンバーもインターナショナルな構成で、火曜日と水曜日の19時半からがオープンデイで火曜日が英語、水曜日が日本語主体でイベントが行われる。

photophoto Tokyo HackerSpaceのサリンゴン・ダニエル氏(写真=左)、Tokyo HackerSpaceの展示ブース(写真=右)

 今回紹介した以外のコミュニティーのセミナーやブースにお邪魔して取材に協力頂いたが、そのリポートは次の機会とさせていただきたい。

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