手のひらサイズでWi-Fiに対応した3Dプリンタが登場3Dプリンタニュース

「iBox Nano」は、102×76.2×203mm、重量が453.6gという小さな3Dプリンタを商用化するKickstarterプロジェクトだ。小型化、Wi-Fi対応、バッテリー駆動で、モバイル機器的要素を強めた製品だ。すでに30万ドル以上資金を集めている。

» 2014年11月10日 14時40分 公開
[小林由美,MONOist]

 米国フロリダ州のiBox Printers社によるKickstarterプロジェクト「iBox Nano」は「世界最小で最も手頃」(同社)な3Dプリンタの商用化を目指す。同プロジェクトの資金はすでにゴールとする30万ドルを突破している。販売価格は299ドル(送料は別途)。支援の受け付けは2014年11月15日まで。小型化、Wi-Fi対応、バッテリー駆動で、モバイル機器的要素を強めた製品だ。ハードウェアにはRaspberry Piを採用している。

iBox Nano
成人男性の手のひらに載るほどの大きさ

 iBox Nanoの本体サイズは102×76.2×203mm、重量が453.6gで、精密レーザーカットで製作されたアクリル筺体に収まっている。プリントサイズは40×20×90mm。造形精度はZY方向(解像度)が328μm、Z方向(積層厚)が0.39〜100μm。大きな3Dプリンタを購入しても、材料コストや造形時間など考慮して、ほとんどのユーザーは小さいものしかプリントしないと同製品のプロジェクトページに書かれている。

iBox Nanoによる造形物

 同製品は、LCDを使用する方式のUVレジン(樹脂)プリンタ。従来のDLPやLSA方式では造形処理の際、冷却ファンの稼働が必須でノイズも発生しやすいという(同社によれば従来機種のノイズは50〜70db程度)。同製品は冷却ファンが不要となり、29dbまで低減できたという。それが本体サイズの小型化や低コスト化にもつながったという。同製品に搭載したLEDの寿命は5万時間程度とのことだが、1日当たり8時間使用した場合で17年持つ計算とのことだ。

装置の構成

 プリントする際にはソフトウェアをインストールをしなくても、Webブラウザ上で行えるという。MacやWindowsといったPCの他、さまざまなスマートデバイスにも対応し、iPhoneやiPad、Android端末とも連携できるという。各端末からはWi-Fi経由で無線データ通信が可能だ。有線LAN(イーサネット接続)でのデータ通信もできる。

 同製品はUSBケーブルでつなぐオプションバッテリーパック(別途購入が必要)を使った場合、約10〜20時間使用できるという。内蔵バッテリーについては、本体サイズやコストに響く(オプションバッテリーを使用しないユーザーにはメリットがない)ということで採用しなかったようだ。

 iBox Nanoは2013年2月から設計着手。2014年7〜8月にα・β版で評価を重ね、2014年9月に設計完了。2014年12月には生産準備を終え、2015年1〜4月にかけて出荷していくとのことだ。

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