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» 2014年11月25日 00時00分 UPDATE

Maker Faire Tokyo 2014:大企業も注目「Maker」ブームのなぜ

電子工作など、モノづくりを趣味で楽しむ人(Maker)が集まるイベント「Maker Faire Tokyo 2014」に東芝やインテル、オートデスクなど大企業の姿が。一般向け製品を主力としない彼らの狙いは何か。

[渡邊宏,MONOist]
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 大手電機メーカーの東芝、半導体大手のインテルとNVIDIA、ルネサス エレクトロニクス。それに3D設計大手のオートデスク――。これら企業が一堂に会するイベントが行われた。CEATEC JAPANのようなIT・エレクトロニクスの総合展示会ではなく、電子工作とDIY(Do It Yourself)のイベント「Maker Faire Tokyo 2014」(2014年11月23〜24日、東京ビッグサイト)だ。

 Maker Faireは米国で創刊されたDIYと工作を専門に扱う雑誌「Make」のリアルイベントとして2006年に米カリフォルニアでスタート。モノづくりを趣味で楽しむ人(Maker)が参加して自作のアイテムを披露、交流を深めるイベントとして年々その規模を大きくし、日本では2008年から開始され、2013年に行われたMaker Faire Tokyo 2013では250組が出展し、9200名が来場した。

photo 「Maker Faire Tokyo 2014」(2014年11月23〜24日、東京ビッグサイト)の様子

 Maker fairは基本的に個人として趣味でのモノづくりを楽しむ人が主体となるイベントだが、Maker Faire Tokyo 2014では企業の出展が目立った。しかも単純な自社PRではなく、モノづくりを趣味とする人へ自社製品がどのように活用できるか、かなり本格的な展示とレクチャーを行っていた。

 東芝は無線LAN搭載SDカード「Flash Air」をLinuxコンピュータとして利用する電子工作、インテルは超小型コンピュータ「Edison」を使ったロボットやドローン、NVIDIAは開発ボード「Jetson TK1」を使ったロボット、ルネサス エレクトロニクスは「誰でもモーターを制御できる仕組み」、オートデスクはスマートフォンを十数台利用しての3Dモデル作成と、個人レベルでは作成の難しいモノを紹介している。

photo 東芝ブースに展示されていた、Flash Airを使用した照度センサー。照度センサーの値をFlash Air経由でスマートフォンへ表示させる
photo インテルの行っていた、同社小型コンピュータ「Edison」のワークショップ
photo NVIDIAがGeneral Electricと共同開発した走行ロボット「TURBO」

 いずれも“本職”とよべる企業の出展するモノとあって完成度は高く、モノづくりを趣味で楽しむ人(Maker)がすぐさまマネできるものではない。それに、これら企業の主力製品は今回のイベントに参加するような一般コンシューマに向けたではなく、企業/法人向けだ。これら出展の関係者も「紹介・出展しているデバイスを売ることが、メインのビジネスではない」と断言する。

photo ルネサス エレクトロニクスの「“動くモノ”開発プロジェクト」 Arduinoなどマイコンにコネクタをさしてコードを挿すだけでモーターの速度と角度を制御できる。大型モーターにも対応できるため、ロボット家電や乗り物の自作までも可能になる
photo モーターの角度を制御できるので、写真のような「鍋を振るロボットアーム」も自作できる

 こうした個人のモノづくり支援に企業PRという側面があるのは事実であり、また、企業内の個人がモノづくりの情熱を会社公認のプロジェクトまで昇華させて出展したという例もあるが、出展企業担当者が異口同音に目的の1つとして口にしていたのが、「一般からのアイデアを募る土壌作り」だ。

photo オートデスクの3Dモデル作成機。10数台のスマートフォンで撮影した画像がクラウドで処理され、3Dデータとして出力される
photo インテル「Edsion」とアスラテック「V-Sido CONNECT」を組み合わせたロボット制御。ロボット制御の専門知識がなくても、手軽にロボットを製作できる

 やや極論になるが、これまでは新製品を出せば売れていた。しかし、コンピュータや電子電機デバイスなどさまざまな領域で市場が飽和し、これまでの発想の製品開発だけでは多様化する市場のニーズをつかめず、また1社だけ新しいムーブメントを作り出すことも難しくなっている。

 そこで各社が目をつけたのが製品の一般向け提供やコミニティの醸成など「自社製品をイジってもらう」土壌を用意することで、コンピュータや電気電子、ひいては自社との距離感を縮めてもらうことであり、場合によっては一般ユーザーからのアイデアや発想を自社にフィードバックすることだ。これまでもコンテストや産学協同といった形で行われていた取り組みだが、より対象を広く取り、継続的に活動を行うことで、企業と個人の新しい関係を築きたい考えだ。

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