“動かしたい”人の救世主、ルネサスの「動くモノプロジェクト」ってなんだ?Maker Faire Tokyo 2014

ルネサスがMaker Faire Tokyo 2014で展示していた「“動くモノ”開発プロジェクト」は、「誰でもモーターの制御ができる仕組み」の提供を目指したものだ。コード1行加えるだけで、モーター制御が容易に行える。

» 2014年11月25日 17時55分 公開
[渡邊宏,MONOist]
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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が「Maker Faire Tokyo 2014」(2014年11月23〜24日、東京ビッグサイト)に出展していた「“動くモノ”開発プロジェクト」は、「誰でもモーター制御できる仕組み」の提供を目指したものだ。

 制御回路などを搭載したモーターモジュールとインタフェースボードで構成されており、Arduinoなどマイコンボードを介してコードを配線するだけで、モーターの速度と角度を簡単に制御できる。

photo Maker Faire Tokyo 2014のルネサスブースに展示されていた「“動くモノ”開発プロジェクト」のデモ

 モーターモジュールは制御用マイコンやドライバ、制御ソフトなどモーター制御に関係する多くの要素を搭載しており、インタフェースボードを介してArduinoやRaspberry Piといったマイコンボードに接続する。APIも用意されており、マイコンボードのソースコードに速度やトルク、出力、角度などを「1行加えるだけ」(同社)で、モーターの種類を問わずに制御を行える。

photo Arduinoなどマイコンボードを組み合わせるだけでモーター制御が行える。写真ではマイコンボードにルネサスのArduino互換ボードであるSAKURAボードを使用しているが、対応ボードはルネサス製に限定されない

 プロジェクトが試作したモーターモジュールは小型DCモーター、大型ACモーター、AC誘導モーターの3種類。さらに現在、ステッピングモーター、ブラシレスDCモーター、角度サーボモータ−の開発を検討しており、Maker Faire来場者の反応などを見ながら製品化を検討していく予定だという。

photo 小型DCモーターを2基搭載したローバー。2つのモーターの回転数や回転角を自在に設定できるので、その場での旋回デモなども簡単だという
photo 大型ACモーターを搭載した調理用ロボットアーム。鍋の中身をこぼさないように振るとった動作もこなす

 モーターは電源をつなげば回転するが、速度や角度、トルクなどを制御しようとすると制御工学から電子回路設計、デジタル信号処理やプログラミングまで、多くの技術的知識が必要となる。Maker Faireの会場を見渡してもモーターを制御した“動くモノ”が少ないのは、そのためだろう。ルネサスは「誰でもモーター制御できる仕組み」を提供することで、新たなマイコン市場の創出を狙うとしている。

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