3Mが新型赤外線乾燥機で自動車補修業界を救う、「初期投資を1年で回収可能」塗装技術(3/3 ページ)

» 2014年12月01日 09時00分 公開
[陰山遼将,MONOist]
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水性塗料にも対応、経年劣化の防止にも効果が

 欧州では自動車の塗装に、溶剤塗料ではなく環境負荷の低い水性塗料が使われる傾向にある。しかし永田氏は「日本でも新車の塗装に水性塗料が使われる傾向にある。しかし自動車補修業界では数%の利用にとどまっており、現在も溶剤塗料の利用が主流となっている」と説明する。その理由には、水性塗料がこれまでの主流である溶剤系塗料と比較して乾きにくいという特性があるため、利用が進まないという背景がある。

水性塗料も短時間で乾燥させられるという(クリックで拡大)出典:3Mジャパン

 ドライシステムは、乾きにくい水性塗料でも短時間で乾燥させられるという。また、完全硬化を短時間で行えるため、ひび割れや色あせといった経年劣化が起こりにくいという品質面でのメリットもある。ドライシステムで加熱乾燥が行える塗料の種類に関しては「日本で販売されている塗料は全て網羅する」(永田氏)としている。

生産性を約2〜3割向上!

 永田氏は今回のドライシステムを含んだコンサルテーションにより、月間処理台数が100台の工場の場合、処理可能台数を37.7台増やすことが可能だとしている。「作業効率を約2〜3割程度改善できると考えている。例えば150台の入庫があるのに、現状100台しか対応できないため、50台分を仕方なく外注しているような補修工場に向けて提案していきたい」(永田氏)。

 ドライシステムは単体での販売も可能だが、基本的にはコンサルテーションとセットで提供していく予定だという。価格は、Model 3000が2300万円、Model 2000が1750万円、Model Pが1300万円で、これにレールなどの設置工事費が加わる。

 永田氏は初期投資費用について「ドライシステムを設置する場所や、補修工程の改善率にも差があるので一概にはいえない。しかし、例えばModel 2000を設置し、設置工事費を含めて約2000万円の初期投資費用が掛かったと仮定する。この場合、月100台の処理能力を持つ工場が、コンサルテーションやドライシステムの導入によって120台まで処理できるようになれば、投資コストの2000万円は1年で回収できると考えている」と説明した。

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