東芝、日本人の遺伝子情報をゲノム解析するツールを用いたサービス開始医療技術ニュース

日本人に特徴的な遺伝情報を短時間で解読可能なゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」を用いることで、従来1カ月以上の時間と1人当たり50万円以上の費用がかかっていたゲノム解析を、約1週間、1人当たり1万9800円(税抜き)で可能にした。

» 2014年12月15日 07時00分 公開
[MONOist]

 東芝は2014年12月1日、大学・病院臨床部門・製薬企業などの研究機関向けに、日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」を使ったゲノム解析サービスを開始した。疾病・習性と遺伝子の因果関係を解明する研究機関などに解析結果を提供することで、個別化予防・個別化医療の実現につながるという(関連記事:東芝と東北大学、日本人ゲノム情報を解析できる遺伝子解析ツールを共同開発)。

 従来、次世代シーケンサーを用いて約30億塩基のゲノム構造を解析する場合、解析には1カ月以上の時間を要していた。また、スーパーコンピュータの使用、データ解析を行う専門の研究者などのインフラが必要なため、1人当たり50万円以上の解析費用がかかるなど、大規模なサンプル解析には膨大な時間と費用が必要とされていた。

 同サービスは、同社のライフサイエンス解析センターで、研究機関から送付された血液・唾液・DNA検体などから個人のゲノム構造を解析するもの。日本人に特徴的な遺伝情報を短時間で解読可能なジャポニカアレイを活用することで、期間は約1週間、1人当たり1万9800円(税抜き)の費用で解析が可能になった。

 同サービスで活用されるジャポニカアレイは、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構が構築した「全ゲノムリファレンスパネル」を基に、COI東北拠点が社会実装した日本人ゲノム解析ツールだ。日本人に特徴的な塩基配列を持つ約67.5万個所の一塩基多型(SNP:スニップ)を1枚のチップに搭載し、短時間で日本人のゲノム構造を解析できる。その解析結果から、約30億塩基の全ゲノム構造を疑似的に再構成(インピュテーション)することもできる。

 すでに、東北大学・弘前大学・新潟大学が同サービスの利用を予定しており、同社では今後も研究拠点・製薬会社での採用を目指すという。また、COI東北拠点と協力し、異なる民族それぞれの特徴的な塩基を見いだすことで、「エスニックアレイ」の開発を目指すという。

photo 日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」

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