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» 2014年12月22日 08時00分 UPDATE

中堅製造業のためのグローバルERP入門(5):失敗しないERP導入プロジェクトの進め方(選定編) (1/3)

中堅製造業に効果的なグローバルERPの活用方法と、失敗しない導入方法を解説する本連載。前回から3回にわたり、ERP導入を成功に導くための重要なポイントについて、プロジェクトのステップごとに解説しています。今回は、ERP製品と導入ベンダーの選定について説明します。

[阿部武史/スカイライト コンサルティング シニアマネジャー,MONOist]
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 中堅製造業にとってもグローバル化が求められる中、そのIT基盤となるERPについてもグローバル仕様の導入が必要となります。大きな投資が必要となるERPですが、本連載では、その意義やメリット、失敗しない導入の進め方などを解説しています。前回からは、3回にわたって、ERP導入を成功に導くための重要なポイントを説明していますが、今回はプロジェクトの成否に大きな影響を与える、ERP製品と導入ベンダーの選定について説明します(図1)。

photo 図1:ERP導入プロジェクトのステップ(クリックで拡大)


どのベンダー、どのパッケージ製品を使うのか

 ERPのようなパッケージ製品の導入では、業務上必要な機能をパッケージ標準で保有していない場合は、機能を追加で開発することになります。これをアドオン開発と呼びます。ERPの導入では、アドオン開発する機能数が多くなればなるほど、開発期間が長くなり導入費用も高額になります。また、品質的な問題が生じるリスクも高まります。いかに自社の業務や要件に合った製品を選び、ERPの持つ標準機能を活用してアドオン開発を抑制できるかが、プロジェクトを成功させるための重要なポイントです。

 また、導入ベンダーにより、得意・不得意とする業種や業務領域が異なります。導入の進め方やユーザー企業との役割分担なども、導入ベンダーによって違いがありますので、プロジェクトの諸条件に適合した、実行力のあるベンダーを選定することが重要です。

製品ベンダーと導入ベンダー

 ERP製品の開発元である「製品ベンダー」と実際にユーザー企業への導入を担う「導入ベンダー」の違いについて説明します。「製品ベンダー」は、ERP製品そのものの開発や製品サポート、マーケティングなどの役割を担います。「導入ベンダー」は、ユーザー企業に対して実際にERPを導入する作業を担当します。製品ベンダーが導入を手掛ける場合もありますが、多くの場合は製品ベンダーとは別のパートナー企業(=導入ベンダー)が導入を担当することになります。

ERP製品の分類

 日本国内で購入可能なERP製品は数多くありますので、自社の要求に合った製品を選び出すことは簡単ではありません。以下に、候補となるERP製品を絞り込むための2つのポイントについて説明します。

企業規模による違い

 ERP製品は、導入対象の企業規模により「Tier1(大企業向け)」「Tier2(中堅企業向け)」「Tier3(中小企業向け)」の3つに分類できます。Tier1の製品は、複雑な業務や組織構造にも対応し、大量の取引を処理できる性能を有します。価格は高額で、導入に要する期間や手間も多くなり、プロジェクトも大規模になります。

 一方、Tier3の製品は、それほど複雑な業務には対応できませんが、構造もシンプルで短期間・低価格での導入が可能です。Tier2の製品は、その中間に位置するものです。まずは、自社の企業規模や業務の複雑性から、どのレイヤーの製品がターゲットになるのか、当たりをつけることが必要です。

得意領域の違い

 ERP製品には、それぞれ得意領域があります。財務会計や管理会計など会計領域を中心に開発された製品や、製造工程や資材調達など生産管理領域を中心に開発された製品など、その製品の成り立ちにより得意領域が異なります。また、製造業/卸売業/サービス業など、得意とする業種も製品によって異なりますので、対象業種も考慮して製品を選びましょう。さらに、海外拠点での利用を前提にした場合、グローバル対応のレベルにも配慮する必要があります。法制度対応まで含めて複数の海外拠点で利用可能な製品もあれば、画面上の表記を英語や中国語に切り替えできる程度の簡易的な対応しかできない製品もあります。

 多くのERP製品の中から、自社に合った製品を選択するためには、多くの時間と労力が必要になりますので、ERP導入に知見を持つ専門家にアドバイスを求めることも有効です。

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