高齢者の転倒危険度を評価する計測システムを開発医療機器ニュース

定量的に二重課題処理能力を測定し、転倒発生リスクを評価する計測システムで、簡便な測定方法による身体機能の評価を可能にした。

» 2014年12月23日 07時00分 公開
[MONOist]

 京都大学は2014年12月9日、高齢者の転倒危険度を評価する計測システムを開発したと発表した。同大学医学研究科の青山朋樹准教授らの研究グループによるもので、村田機械が製品化し、グループ会社の日本シューターが「STEP+(ステップ プラス)」の製品名で同月から全国の医療・介護施設などへ販売する。

 高齢者の転倒事故による外傷や脳疾患を要因とする寝たきり化は、昨今大きな社会問題となっている。医療業界、介護・福祉業界、公共団体などでも、転倒予防に取り組む風潮が高まっているが、客観的な評価指標がなかったという。

 同研究グループでは、高齢者の転倒原因の1つとして注目される、二重課題処理能力(2つの課題を同時に処理する機能)を定量的に測定し、転倒発生リスクを評価する計測システムを開発。簡便な測定方法による、身体機能の評価を可能にした。

 同計測システムは、測定装置本体、計測時の基準として設置するポール、マット、PC(ソフトウェアのみ提供)で構成される。小型・軽量で、どこでも手軽に転倒危険度を測定できる。測定は、PCの画面上に前後左右いずれかの方向を示す矢印が表示され、その指示に従って高齢者が移動する際の足の動きをLRF(レーザ、レンジ、ファインダ)を用いて行う。矢印が表示されてから、高齢者が動き始めるまでの反応時間、両足の移動距離と移動が完了するまでの時間を計測し、被測定者が正しく両足を移動できたかを判定する。

 被測定者の不意の転倒に配慮し、樹脂製ポールを採用するなど、安全面にも考慮した。また、さまざまな被験者の足の動きをデータとして収集し、高齢者独特の足の動きにも対応できる足位置計測アルゴリズムも実装している。

 さらに同計測システムは、トレーニングにも応用することで、転倒予防や機能向上効果も期待できるという。

photo 今回開発した「STEP+」と開発メンバー(右から5番目が青山准教授)

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