「強敵」と書いて「とも(友)」と読む、まさに王道の展開〜「リアルロボットバトル 2014」密着取材リポート(後編)『ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル』の舞台裏(1/3 ページ)

2mの巨大ロボットが本気で殴り合う、2014年年末特番「ロボット日本一決定戦! リアルロボットバトル」の舞台裏に潜入。テレビには映らなかった、「強敵」と書いて「とも(友)」と読む、まさに王道の展開とは。

» 2015年01月15日 11時00分 公開
[大塚実MONOist]

 日本テレビ系列で2014年12月2日に放送された「ロボット日本一決定戦! リアルロボットバトル」(以下、リアルロボットバトル)の収録現場に密着、舞台裏を余すことなくお届けするリポートの後編。

 前編では「グレートキングカイザーZ」(マルファミリーチーム)対「オプティマスプライム」(千葉工業大学・トランスフォーマーチーム)のヒーローロボット対決、ROBO-ONE強豪の登場で注目された「風神」(風神プロジェクトチーム)対「GANTON-53」(日本大学理工学部精密機械工学科チーム)のバトルを舞台裏も含めてお伝えした。

 この後編では個性派同士の対決となった、「ふなっしーロボ」(ふなっしー&岡田リベンジャーズチーム)対「MMSEBattroid Ver.0」(人機一体・金岡博士チーム)、そして決勝戦と決勝戦の裏側に秘められた“ロボットアニメ的な王道展開”をご紹介したい。

個性的なロボット同士の激突

 1回戦最後の試合は「ふなっしーロボ」(ふなっしー&岡田リベンジャーズチーム)vs「MMSEBattroid Ver.0」(人機一体・金岡博士チーム)。

 ふなっしーロボは、船橋市非公認のゆるキャラ・ふなっしーそっくりに作られたロボット。前回、世界まる見え!テレビ特捜部チームのサポーターだったふなっしーと、同チームの「たけしロボ」の開発を担当した岡田昇一氏が再びチームを組み、開発したロボットである。

photo ふなっしーロボ。身長はふなっしーよりもやや高い

 ふなっしーに似せたため機体が縦に細長く、重心が高い位置にあるので移動速度はゆっくりになってしまうが、その弱点を補う仕組みが頭部の回転機構。このふなっしーロボ、実は頭部がグルグル回転できるようになっている。腕は胴体側ではなく、頭部側に付いているため、頭をくるっと後ろに向ければ、あっという間に前後が入れ替わる。後ろを取られにくいというわけだ。

このような回転機構の場合、普通にケーブルを通すとねじれてしまうため、電力と信号の接続には工夫が必要になる。一般的には、「スリップリング」と呼ばれる特殊なコネクタが使われたりするのだが、ふなっしーロボでは頭部と胴体にそれぞれバッテリを搭載。信号は無線LANで通信することで、有線による接続を不要にした。ケーブルが無いので、何回転しても大丈夫だ。

photo 頭部側と胴体側の通信は無線LANを使用。アクセスポイントが見える

 モーターは前回に引き続き自作。ギヤ比を変え、トルクを1.5tに落とす代わりに速度を上げた。また不具合が出たため、試合では使われなかったのだが、3DセンサーとWEBカメラを胴体正面に内蔵しており、相手のコアを認識して自動で攻撃する予定だったのは面白いところだ。

photo 分かりにくいが、Webカメラの上にあるのが3Dセンサー

 対する人機一体・金岡博士チームは、立命館大学教授でマンマシンシナジーエフェクタズ(MMSE)社長である金岡克弥氏が率いるチーム。開発したMMSEBattroidのコンセプトは「人機一体」、人と機械の一体化である。

 このロボットの特徴は操縦方法だ。マスタースレーブであるのはキングカイザーと同じだが、キングカイザーが一方通行のユニラテラル制御であるのに対し、MMSEBattroidは双方向のバイラテラル制御。つまり、ロボットが受けた力を操縦者が感じることができるようになっているわけだ。

photo 手前がロボットで、後ろに見えるのが操縦装置。ほぼ同じ関節構造だ

 さらに、ロボット頭部の魚眼カメラの映像を切り出して、操縦者が装着するヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」に表示することが可能。バイラテラル制御のマスタースレーブとヘッドマウントディスプレイの組み合わせにより、まるで自分がロボットになったような感じで操縦することができる。

 試合は、ふなっしーロボが先制したものの、機体の不調もあり、一方的にボコボコに殴られる展開に。結局7対5でMMSEBattroidが勝ち、岡田氏とふなっしーのリベンジは叶わなかった。

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