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» 2015年01月20日 08時00分 UPDATE

オートモーティブワールド2015 基調講演リポート:ミニバンからスポーツカーまで、新たな価値を生み出すクルマ作りの本質 (1/4)

「オートモーティブワールド2015」の基調講演に本田技術研究所 取締役 専務執行役員の山口次郎氏が登壇。同氏は「未来のモビリティ社会と“Waku Waku”する新価値創造」をテーマにホンダの製品開発エピソードや、今後の技術開発の展望について語った。

[陰山遼将,MONOist]

 2015年1月14〜16日に東京ビッグサイトで自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2015」が開催された。同年1月14日の基調講演で、本田技術研究所 取締役 専務執行役員の山口次郎氏が「未来のモビリティ社会と“Waku Waku”する新価値創造」をテーマに講演を行った。本田技術研究所の4輪R&Dセンター長を務めるなど、ホンダのさまざまな自動車開発に携わってきた山口氏は、これまでの製品開発エピソードや今後の技術開発の展望について語った。


“Waku Waku”するような“新価値商品”を

rk_20150119_honda01.jpg 本田技術研究所 取締役 専務執行役員の山口次郎氏

 山口氏は「ホンダのモノづくりの原点」として、創業者の本田宗一郎氏が戦後まもない頃、日本陸軍から払い下げられた軍事用無線通信機向けの小型エンジンを取り付けた自転車を販売したエピソードを紹介した。山口氏は「これは1つのアイデアで、もっと人が快適に移動できるようになることを示した商品だった。このように、ホンダは人々の暮らしをさらに豊かにする、今までにない商品を生み出し続けてきた。今後もこのモノづくりの思想を基に、ユーザーが“Waku Waku”するような“新価値商品”を提供してきたい」と語る。

 ではホンダはどういった姿勢で新たな価値を持つ製品の開発に注力してきたのだろうか。山口氏は「ユーザーに受け入れられ、『ホンダの信念が具現化されている』と言われた新製品でも、そこに必ずしも最先端の技術があったわけではない」と語り、同氏が新価値商品の創出において重要とする3つのキーワードに沿って、ホンダのこれまでの製品開発エピソードを紹介した。

「枠にはまらない」モノづくりから生まれた「N BOX」

 山口氏が1つ目に挙げたのが「枠にはまるな」というキーワードだ。同氏は「全てを取り払った自由な枠組みを具現化して、新たな価値を生み出したいというホンダの考えである」と説明する。

rk_20150119_honda02.jpgrk_20150119_honda03.jpg Nシリーズの第1弾として発売された「N BOX」(左)。車両の後部座席の背後や床下に設置される場合が多い燃料タンクを、車両中央下部に設置する「センタータンクレイアウト」を採用している(右)出典:ホンダ

 こうした「枠にはまらない」考えから生み出された新価値商品として山口氏が挙げたのが、2011年に発表したホンダの軽自動車「Nシリーズ」だ。同シリーズの第1弾として発売された「N BOX」には、「センタータンクレイアウト」を同社の軽自動車として初採用している。これは従来、車両の後部座席の背後や床下に設置されることが多い燃料タンクを、車両中央下部に設置するホンダの特許技術である。これによりN BOXは、軽自動車でありながら広い車室内空間を実現した。

 山口氏は初代N BOXの開発について、「日本特有の軽自動車規格に“はめる”のではなく、ユーザーが楽しめる室内空間をどう設計すべきかという観点から、センタータンクレイアウトなどの導入すべき最適な技術を選択していった。ホンダはこのN BOXで、それまでの『軽自動車は我慢して乗るもの』という常識を一新した」と語った。

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