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» 2015年01月23日 09時00分 UPDATE

RPGで理解する生産管理(1):RPGをクリアするまでのプロセスと生産管理 (1/4)

“モノを生産する”製造業にとって、生産を上手に管理し運営していく「生産管理」の手法は、非常に重要です。しかしさまざまな要素や考え方が含まれる「生産管理」は、慣れない人々にとっては理解するのが難しいものでもあります。そこで本連載では、RPG(ロールプレイングゲーム)になぞらえて生産管理を分かりやすく解説していきます。

[山口亨/UTAGE総研 代表取締役,MONOist]

 グローバル最適地生産の進展や円安による工場の国内回帰など、激しい環境の変化にさらされる製造業にとって「生産」をうまく管理し、柔軟に変化に対応していく重要性が高まっています。しかしこの「生産管理」はさまざまな概念が含まれており、新入社員や異動したばかりの人など、慣れない人にとっては理解するのが難しい分野でもあります。

 そこで本連載では、生産管理の初心者を対象に、多くの人が子どもの頃に夢中で遊んだであろうRPG(ロールプレイングゲーム)になぞらえて、生産管理を解説していきます。第1回となる今回は、生産管理の基本を紹介します。

RPGは無意識にさまざまなことを管理している?

 精霊の恵みを受けた豊かで美しい大地。草原の先に緑あざやかな森が広がり、その頭上には天高くそびえる岩山がそそり立っています。草原の中にはバロック調の小さな建物が点在し、屋根の上に十字架を掲げた教会からは鐘の音が聞こえてきます――。筆者は、今ロールプレイングゲーム(RPG)の世界に思いをはせていました。中世ヨーロッパを思わせる異世界の中で、自らの仲間とともに武器や防具をそろえ、レベルアップを果たしながら強大な敵を倒し、平和な世界を取り戻す。そんなRPGの世界が大好きで、子どもの頃は特にドラクエシリーズにのめり込みました。

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 子どもにとって夢中になれる要素がそろうRPGですが実はとても多くのことを示唆しており、見方を変えれば、生産管理を含め、さまざまな要素を読み解くことができます。

 RPGは、プレイする人それぞれに楽しみ方があり、そこにその人の個性も反映されます。リスクを考慮せずレベルが足りない状態で、中ボス(作中のポイントとなる強敵)を倒しに洞窟に飛び込むプレーヤーや、リスクに気を使い過ぎ、必要以上に薬草を買い集め、レベルアップに時間をかけまくるプレーヤーなど、十人十色のやり方があります。しかし、ゲームの本筋はラスボス(最後の強敵)を倒して、世界を救うことが目的となるでしょう。

 このゲームをクリアするまでのプロセスを振り返ってみると、無意識に多くのことを管理・計画していることが分かります。

 「武器は何にするか?」「防具はどうか?」「今のお金でこの武器を買うと、防具まで買うお金が無い……」「道具は何を持っていくのか?」「攻撃系の魔法と、回復系の魔法を使える仲間をどのように組み合わせるのか?」など、頭の中で順番や優先順位を組み立てているはずです。

RPGの管理・計画と生産管理

 では、RPGではプレーヤーは何を管理しているのでしょうか。

 「ムリ」なく洞窟をクリアしたい人は、じっくりとレベルを上げてから洞窟に臨むことでしょう。その場合、「あとどれくらい経験値を稼げばよいか?」「あとどれくらいお金を稼げば、装備を強化できるのか?」などの点を考えることになります。

 一方で、「ムダ」な買い物ばかりしているとお金はたまりません。また「ムダ」に魔法ばかり使っていると、洞窟の途中でMP(魔法を使うために必要なポイント)が無くなってしまいます。また弱い状態で「ムリ」に難易度の高い洞窟に進んでも途中で敵に倒されてしまいます。

 仲間の能力の問題もあります。仲間のレベルを「ムラ」なく、均一な状態で上げていかなければ、どこかである仲間の能力が足りなくてクリアできないということになるかもしれません。例えば、洞窟の中の強敵に挑むときも、あまりにも弱い仲間がいると一撃で倒されて、人数が少ない状況で戦うことになるかもしれません。

 単純にRPGをプレイしていても、これらのさまざまな角度から、外的要因や内的要因を分析しつつ、さまざまな仲間の能力や装備などを管理しているわけです。実は、この作業はほとんど「生産管理」の領域に置き換えることができます。

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