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» 2015年02月05日 12時00分 UPDATE

自動運転技術:自動運転はいつ実現? 日米欧が描くそれぞれのロードマップ (1/4)

内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、自動運転システムの開発に取り組むSIP-adusが、欧州や米国の自動運転技術の開発における動向や、今後の研究開発の方向性について説明した。

[陰山遼将,MONOist]

 安倍政権の掲げる第3の矢である「新たな成長戦略」において、重要な役割を担うとされる科学技術イノベーション。その実現を目指し、今後の日本の経済・産業競争力にとって重要な10のプログラムに対して、縦割り行政による弊害をなくした府省横断型の体制で取り組もうというのが「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」だ。内閣府が主導する同プログラムには、2014年度予算で合計500億円が計上されている。(関連記事:アベノミクス第3の矢を実現する10のイノベーション【前編】)。

 昨今、米国のGoogleが開発した自動運転車や、海外自動車メーカーの自動運転に関する実証実験が話題となっている。SIPの10のプログラムには、こうした自動運転(自動走行)システムに関する日本の技術の確立を目的とするプログラムが織り込まれた。このプログラムを主導するSIP-adusは2015年1月29日、東京都内で会見を開き、現在行っている実証実験の概要やEU(欧州連合)と米国の自動運転技術に関する研究開発の動向について説明した(SIP-adusの詳細はこちら)。

rk_150204_sip02.jpgrk_150204_sip01.jpg SIP-adusが取り組む研究内容(左)とロードマップ(右)(クリックで拡大)出典:SIP-adus

欧州の自動運転プロジェクト「AdaptIVe」とは

 自動運転技術の開発に向けた方針として、SIP-adusが重要なポイントとして掲げているのが研究開発の国際連携だ。そのため、SIP-adus内には国際連携WG(Working Group)が設置されている。会見では国際連携WGの主査であり、ITS Japan 専務理事を務める天野肇氏がEUと米国の自動運転技術の開発動向について説明した。

rk_150204_sip04.jpgrk_150204_sip03.jpg SIP-adus 国際連携WGの主査であり、ITS Japan 専務理事を務める天野肇氏(左)とEUが掲げる成長戦略および科学技術戦略の概要(右)(クリックで拡大)出典:SIP-adus

 EUが掲げる2014〜2020年の中期成長戦略「Europe 2020」では、「Horizon 2020」と呼ばれる科学技術・イノベーション分野を担う政策に中期計画期間の7年間で合計約770億ユーロ(約10兆3000億円)の予算が与えられている。このHorizon 2020の中で、社会的課題への取り組みの一部として交通分野への研究開発に割り当てられている予算は約63億ユーロ(8400億円)だ。自動運転技術に関する研究開発は交通分野の中に含まれており、「AdaptIVe」という名称の独立したプロジェクトとなっている。

rk_150204_sip05.jpgrk_150204_sip06.jpg 「AdaptIVe」の概要(左)と開発テーマ(右)(クリックで拡大)出典:SIP-adus

 AdaptIVeへの参加国はフランス、ドイツ、英国をはじめとする合計8カ国で、各国の自動車メーカーやサプライヤ、大学機関などのメンバーで構成されている。予算は2500万ユーロ(約34億円)、プロジェクトの期間は2014年1月〜2017年6月の42カ月となっている。Volkswagen Gruoupがプロジェクトを主導しており、自動運転技術を道路交通の安全性/効率性の向上や環境問題の低減といったさまざまな範囲への適用を目指しているという。

rk_150204_sip07.jpgrk_150204_sip08.jpg 「AdaptIVe」の研究対象(左)とiMobility Forumの概要(右)(クリックで拡大)

 AdaptIVeは研究開発の対象として、ドライバー、車両、クルマに搭載されるコンピュータの3者の関係性を中心に据えている。一方で自動運転の実用化には、道路とクルマをつなぐ路車間通信や高精度なデジタルマップの作成といった、いわゆるITS(高度道路情報システム)の整備も必要となる。こうした自動運転技術の導入に伴うインフラ整備や、法律、社会的効果の検証といった領域については、欧州委員会のiMobility Forumと呼ばれる官民連携の組織が担当しているという。

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