シャープの液晶事業が脱スマホ依存を目指す、車載分野に注力へ車載電子部品(2/3 ページ)

» 2015年02月18日 12時00分 公開
[三月兎,MONOist]

BtoBtoC市場からBtoBtoB市場へ

 同社の液晶事業のポートフォリオは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCといったBtoBtoC市場向けが約85%を占める。残り15%が車載、工場、医療、公共、産業機器(IA)、サイネージなどの社会インフラといった企業向けのBtoBtoB市場となる。中期の事業拡大では、このBtoBtoB市場の比率拡大がテーマになっている。

 BtoBtoC市場は、エンドユーザーの低価格指向が強く製品のサイクルタイムも短い。市場の変動が激しく、急激な売価ダウンもあってリスクが大きい。一方のBtoBtoB市場は、市場は小さいもののカスタム性が強く、品質力、技術力、サポート力、提案力が必要で参入障壁が高い。「液晶パネル開発で40年以上の歴史を持つシャープにとって、BtoBtoB市場が適している。独自技術で、ディスプレイを使ったユーザーインタフェースの革新に寄与し、既存システムの進化を提案していく」と自信を見せる。

BtoBtoC市場への依存度を軽減し、BtoBtoB市場の比率を2018年度に約40%まで高める BtoBtoC市場への依存度を軽減し、BtoBtoB市場の比率を2018年度に約40%まで高める(クリックで拡大) 出典:シャープ

 例えば、公共や教育などの用途で使われている大型の液晶タッチパネルは、現在の技術では1度に1人しかパネルへのタッチ操作ができない。シャープの技術を使えば、複数人が一緒に書き込みを行えるので、通常の紙や黒板と同じような使い方が可能になるという。このようにマルチタッチやフリードローイング、3Dモーションセンサーなどの独自のアルゴリズムでディスプレイの操作性を向上し、付加価値を上げていく方針だ。

3Dモーションセンサーで空間の手の動きを認識し、タッチレスでモニター操作を行える(左)。高感度タッチパネルコントローラは、厚い手袋を着けたままタッチパネルの操作ができる。医療用への用途も期待できる製品だ(クリックで拡大)

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