“究極の強制空冷”を備えるMac Pro、開発コストを大幅削減したECUCAEセミナーリポート(3/3 ページ)

» 2015年02月19日 11時00分 公開
[加藤まどみ,MONOist]
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新設計にも素早く応じられるように

 新しいECUの開発依頼が来た場合、基本的に前世代のバージョンを踏襲するため、ほぼ8〜9割ほどは同様の電子回路の構成で済む。小型化などの要求はあるものの、前世代の量産モデルを使って筐体やプリント基板を再利用し、次世代のECUモデルを作成する。発熱量は、1〜2割の追加となる回路の発熱量を新たに算出することで、製品モデルが2日でできるようになったという。

図6:シミュレーションと実験を融合させるとともに、部品モデルのライブラリによって、高精度・短期化を可能にした

 篠田氏は熱解析の最適化の例も紹介した。例えば素子同士の受熱の影響を最小にするためのレイアウトを、多目的の大域最適化手法(MOSA)で探索した。この際重要なのは、実装の配置制約条件を構築することだという。対象素子は11個で、各素子間の距離は1mm以上、特定の素子の距離は規定以内などの制約条件を設定し、計算回数880回、作業時間10時間、計算時間880時間で素子レイアウトの最適化を行った例などを紹介した。

 2015年の時点で、開発期間が60%短縮、コストが82%程度削減といった更なる効果も出る予定だという。これが可能になった原因について篠田氏は「(シミュレーションの)専任化で人が育成でき、それによって熱設計の手段の選定や、解析と実験結果からの考察が的確になってきた。また実験値とシミュレーションを一致させるノウハウをためることができている」と述べた。

 個別の効果としては、新規製品のシミュレーションに2日と非常に短時間で対応できるようになってきた。また特に自動車メーカーの熱設計に対する理解を促進できるようになった。高精度な熱設計もできるため、性能限界を素早く判断できるようになってきた。今後もより高精度のシミュレーションを構築することにより、さらにスピードの速い製品づくりをしたいということだ。

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