RPGクリアに欠かせないアイテム管理と在庫管理RPGで理解する生産管理(2)(5/5 ページ)

» 2015年02月20日 09時00分 公開
[山口亨/UTAGE総研 代表取締役,MONOist]
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棚卸資産回転期間

 適正在庫を判断する1つの基準として、棚卸資産回転期間があります。棚卸資産回転期間を計算することで、在庫を仕入れてから販売するまでに、何日要しているかを確認できるのです。

 例えば、棚卸資産が100万円、売上原価が1200万円の会社の場合、(100万円/1200万円)×365日=30.5日となります。つまりこの場合、在庫を仕入れてから売り切るまでに、約1カ月かかる(在庫を保有している)ことになるわけです。そのため、生産もしくは仕入れにかかる時間が、1カ月より短ければ在庫が増える傾向であり、逆に少ないと機会損失の傾向ということがいえます。これを1つの判断基準とできるのです。

棚卸資産回転期間(日)=(棚卸資産÷売上原価) × 365日

 先ほどの「やくそう」の例でいくと、「何回冒険に行く間に、何個の薬草を買ったか」というのを一定期間記録し続けるといいかもしれません。例えば、10回冒険行くうちに50個の「やくそう」を買ったのだとすると、1回の冒険当たり5個の「やくそう」を使うというのが指標となるでしょう。そうすると、5個以上保有することは「在庫が多い」といえ、4個以下だと「冒険の途中で足りなくなる」ということがいえます。

発注方式

 では、いつどれくらいの仕入れをおこなえばよいのでしょうか。仕入れに際して具体的にどのような発注方式があるのか、簡単に見ておきたいと思います。

定期発注点方式

 定期的に少量ずつ発注するか、その都度必要数量を発注する方式です。人が消費量の実績と予測に、きめ細かい目配りをして発注量を決め、在庫ゼロを目標に制御します。毎日もしくは毎週、実地棚卸しをするなど、注意深い現品管理をし、事務処理の手間も十分にかけなければなりません。主に、品目点数は10%程度で、売上金額の75%までを占める重点管理品目を対象とします。

定量発注点方式

 不定期で一定量発注する方式です。安全在庫量を設定し、それを割り込みそうになったら、一定量を半自動的に補充発注します。安全在庫量は月平均消費量と月別消費量との差異(バラツキ)を計算した上で、さらに差異の平均値(平均絶対偏差)を求めて判断します。主に、品目点数は25%程度で、売上金額の95%までを占める管理品目を対象とします。

発注点 = 月平均消費量 × リードタイム(月数換算) + 安全在庫量

 これらの2つ以外にも発注方式はさまざまなものが存在しています。しかし、実際の現場では需要予測が難しく、常に四苦八苦しながら発注を行っているというのが実情ではないでしょうか。RPGにおいても、適切な「やくそう」の保有量やMPの使用量については、実際のところある程度の経験で解決できる面も大きいです。在庫管理や需要予測についても同様で、現在はこれらを支援するITシステムなども登場していますが、ある程度の経験や勘の要素が大きいのも現実だといえます。

次回は?

 次回は「敵キャラ遭遇確率」を切り口に製品の「不具合発生確率」についてご紹介したいと思います。「シックスシグマ」や統計学上の「有意差」「ハインリッヒの法則」など、確率から導き出される生産管理の側面についてお話しします。(次回へ続く

筆者プロフィル

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山口 亨(やまぐち すすむ) UTAGE総研 代表取締役 中小企業診断士

愛知県一宮市出身。中小企業診断士として、東京商工会議所を中心に、日々中小企業の経営改善現場で活躍。特に無料ツールを活用した、ITインフラ構築や販売促進支援と創業時などの思いを事業計画書という形に作り上げる支援に定評がある。また、著書に「ガンダムに学ぶ経営学」「ドラクエができれば経営がわかる」がある。




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