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» 2015年02月20日 11時00分 UPDATE

宇宙開発:勤続17年の日米共同開発観測衛星「TRMM」が残した気象予測技術の進化 (1/4)

JAXAは東京都内で2015年4月上旬にミッション終了が予定されている熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」についての説明会を開催。宇宙から雨を観測する衛星として初の日米共同で開発されたTRMMは、約17年という当初の計画を上回る長期観測を続けてきた。今日の気象観測に大きな貢献を果たしたTRMMの功績を振り返る。

[陰山遼将,MONOist]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年2月19日、東京都内で会見を開き、同年4月上旬にミッション終了が予定されている熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」についての説明会した。宇宙から雨を観測する衛星として初の日米共同で開発されたTRMMは、約17年という当初の計画を上回る長期観測を続けてきた。地球規模での大気変動や詳細な降雨観測技術の発展など、今日の気象観測に大きな貢献を果たしたTRMMの功績を振り返ろう。


TRMMに与えられたミッションとは

rk_150220_jaxa01.jpg 熱帯降雨観測衛星「TRMM」のイメージ(クリックで拡大)出典:JAXA

 TRMMとはTropical Rainfall Measuring Missionの略称であり、熱帯・亜熱帯地域の降雨の観測と分析を目的に開発された衛星だ。熱帯・亜熱帯地域は降雨量は地球全体の3分の2を占めており、その降水現象に伴う大気加熱の分析を行うことは、地球全体における気候変動予測の精度向上や、エルニーニョ現象といった異常気象の解明につながる。

 TRMMはこうしたミッションを目的とする衛星として、降雨観測に特化した設計が施された。降雨推定が用いる、降雨レーダー、マイクロ波放射計、可視赤外センサーを世界で初めて同時搭載している。中でもこの降雨レーダーは、JAXAが情報通信研究機構(NICT)の協力を得て開発した“世界初”の人工衛星搭載降雨レーダーだ。

rk_150220_jaxa02.jpgrk_150220_jaxa03.jpg TRMMの概要(クリックで拡大)出典:JAXA

 これら3つの降雨観測に利用するセンサーに加え、TRMMには雷観測装置と雲および地球放射エネルギー観測装置も搭載されている。それぞれのセンサーの開発と運用については、降雨レーダーをJAXAが、その他にセンサーや衛星の開発については米国航空宇宙局(NASA)が担当している。

 TRMMの開発と運用の実現に向けて、日米の共同プロジェクトが具体化したのは1986年のことだ。1992年に文部省の宇宙開発委員会で開発への移行が承認された。そしてさらに5年の時を経て、1997年11月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケット6号機によって打上げられた。ここから日本における「宇宙からの降水観測」がスタートする。

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