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» 2015年03月17日 09時00分 UPDATE

CAEニュース:京やFOCUSも社内ネットワーク感覚で利用可能なサービスを開始

CAEツールの提供・サポートを行うヴァイナスは、2015年春からクラウドHPCにおける自社開発ソルバーおよびオープンソルバ利用のサポートを本格的に開始する。

[加藤まどみ,MONOist]

 ヴァイナスは2015年春から、マルチクラウド利用支援ソフトウェア「CCNV(Cloud Computing NaVigation system)」、技術系アプリケーション運用受託サービス「VECAMS(VINAS Entrusted Cloud Application Maintenance Service)」、クラウドHPCサーバ専用ネットワーク網「V-HPC Network」の本格提供を開始する。「これらのサービスは、HPCでCAEを利用する際に、ハードとソフト全ての運用をサポートするというもの」だと同社 代表取締役社長の藤川泰彦氏は言う。

yk_vecams_fujikawa.jpg ヴァイナス 代表取締役社長の藤川泰彦氏

 今後、自社内のコンピュータと外部のクラウドHPCのハイブリッド環境を使いこなしていくことが求められると藤川氏は言うが、通常のコンピュータ知識の範囲で京などをはじめとするスパコンに対応することは非常に難しい。一方ヴァイナスには専門チームがいるため、HPCへのポーティングや並列チューンが可能だ。従来のクラウドHPC利用のハードルとなっていた、新たな専門知識の習得をヴァイナスのサービスの利用によって補うことができる。それを実現するのが、2015年4月から提供するソフトウェアのCCNV、運用サービスのVECAMS、ネットワーク基盤のV-HPC Networkの3つのソリューションというわけだ。

複雑な利用料金の試算が可能

 CCNVは自社サーバ、FOCUS(計算科学振興財団)、京(理化学研究所)などのスパコン、IBM Softlayer、Amazon AWSなどのクラウドサーバにおける、自社開発ソルバおよびオープンソルバの利用をサポートするソフトウェアである。Windowsの知識だけでLinuxのHPC環境を利用でき、複数のクラウドサーバを簡単に切り替えることも可能だ。

 「通常スパコンを利用するにはFTPコマンドを大量に打ち込んだり、フロントエンドサーバおよび計算サーバへ2重ログインを行うなど非常に手間が掛かる。以前ヴァイナスの社員がスパコンを使っていた際も、プログラムがうまく流れなければその都度データを修正するなど大変な労力が掛かっていた。場合によってはセキュリティ設定の関係でログインすらできず、仕事にならないということもあった。それらの経験から、作業の効率化のためにCCNVが生まれた」(藤川氏)。CCNVであればファイル送信はドラッグ&ドロップで済むようになるという(図1)。

yk_vinasccnv_p4.jpg 図1 簡単なGUI操作で自社サーバやクラウドサーバを利用できる

 計算の収束状況は通常クラウドサーバだと分からないが、CCNVでは収束グラフを表示できる。また利用前の料金の試算や、何時間利用して料金がどれだけ掛かったかといったレポート表示も可能だ。

 利用料金の試算についてはFOCUS、Amazon AWS、IBM SoftLayerの3つのクラウドに対応している(図2)。

yk_vinasccnv_p10.jpg 図2 クラウドサーバの料金を試算可能

 スパコンの利用料金体系は複雑で、利用のタイミングによっても料金が変わるため、事前に利用金額を知ることは難しい。そこでCCNVは、ネットにある現在状況を取りに行き、そこから掛かる金額を試算する。ソフトウェアの価格はCCNV-Basic Plusの場合、年間ライセンスで42万円となっている。

コードのインストール・運用を請け負う

 VECAMSは技術系アプリケーション運用受託サービスである。ユーザー開発コードやオープンソースコードのアプリケーションをHPCサーバなどで実行するために、ポーティングとコンパイル、またチューニング、メンテナンス作業を行うサービスとなる。解析量が増えてスパコンの需要が高まる一方で、スパコンならではのポーティングやコンパイル、HPCごとに異なるチューニングなどはさらなる知識が必要なため、導入には大きな負担が掛かる。VECAMSはその部分を請け負うサービスとなる。

 ユーザーはソースコードをヴァイナスに渡し、クラウドコンピュータを指定して、ポインティングとコンパイルを行ってもらう。基本的にアプリケーション1種類ごとにサーバ1台目は80万円、2台目からは40万円。並列化効率の改善や、メモリ消費の最小化などのシステム開発やセキュリティなどは別途有償で提供する。アプリケーションのメンテナンスは年2回まで可能である。

データ転送が遅くては実用に向かない

 V-HPC Networkは専用の高速・高安定でセキュリティ性の高い回線だという。京やFOCUS、Amazon AWS、IBM SoftLayerなどのクラウドHPCサーバと高速専用回線網を使って接続し、社内ネットワークの一部のように高いセキュリティレベルで接続できるという。

 京やFOCUSには専用回線がないため、いくら大きな計算がすぐ終わっても、データを受け取るのに時間がかかるという課題があった。「計算時間だけでなくトータルスループットを考える必要がある」(藤川氏)ことから同回線を提供する。

 現在、CCNVと同様のサービスは国内にはないという。またiPhoneやiPadなどのモバイル端末でモニタリングなどに対応するものとしては世界で唯一だという。VECAMSのようなサービスも海外を含めてどこも提供していないということだ。VECAMSは2014年10月から、V-HPC Networkは2015年3月9日から提供を開始しており、CCNVはバージョン2(v2)を2015年4月から提供する予定となっている。

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