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» 2015年03月20日 10時00分 UPDATE

メカ設計セミナーリポート:設計改革で大きな効果を得たいなら、設計の直接業務にメスを入れよ! (1/2)

以前から3次元CADやPDM、E-BOMなどの導入による設計改革が進められてきた。だがなかなか現実にはうまくいかないことも多い。抜本的な改革を行うためには、「改革の対象を変え、流用設計をやめるべきだ」とプリベクト 代表取締役の北山一真氏は言う。

[加藤まどみ,MONOist]

 2015年3月12日に開催された「ものづくりの仕組み変革セミナー」(主催:ソリッドワークス・ジャパン、TactonSystems)で、製造業コンサルティング会社であるプリベクト 代表取締役の北山一真氏が「設計改革へのシナリオと実践のための方法論」というタイトルで講演を行った。

 ここ20年ほど「設計改革」の名の下に、設計現場ではPDM・図面管理システム、3次元CAD、E-BOM(設計部品表)の導入や標準化などが進められてきた。しかし、「設計改革といっても、間接的な業務に対するものが優先的に取り組まれてきた」(北山氏)という。その背景には、取り組み方法が分かりやすく、ITのツールに落とし込みやすいといった理由がある。しかし、間接業務だと効果は限定的になり、大きな改革にはつながらない。

 中でも北山氏が“諸悪の根源”だと表現したのは、「流用設計」である。「効率化はもちろん重要だが、高度化も進めなければ競争力は養われない。そもそも設計はクリエイティブな職業なのに、(新しい設計を)我慢しなければいけないのは自殺行為のようなものだ」と北山氏。

プリベクト 代表取締役の北山一真氏 プリベクト 代表取締役の北山一真氏

 設計改革で大きな効果を得たいならば、設計の直接業務にメスを入れるのが本来の方法だ。しかし、そもそも問題がどこにあるかの認識が難しい。さらに、大きな変化を伴うため、上司や関係者への説得も必要になる。「こういったハードルの高さによって設計改革は間接業務にとどまり、『改革ごっこ』になってしまっているのではないか」と北山氏は指摘する。

標準化図面は設計者の理解力を弱める

 通常の図面標準化のアプローチは、過去の図面から標準図を決め、それらの組み合わせで設計を行い顧客の要求に合わせる。業務の流れとしては、いわば「下流から上流へのアプローチ」となる(図1)。しかし、そうではなく、顧客要求から始まり設計へと流れる「上流から下流へのアプローチ」にすべきだという。そのためには、「必要なときに、毎回コンピュータが自動で作図する仕組みを作るべきだ」と北山氏は述べる。

図面標準化から仕様・諸元標準化へ 図1 図面標準化から仕様・諸元標準化へ(画像クリックで拡大表示) ※出典:北山一真氏のスライドより

 北山氏は「従来のアプローチによる流用設計は、設計力を弱める原因になっている」と強調。その理由の1つは、標準図を用意してしまうと、設計の十分な知識がない設計者でも、一部を変更しただけで出図できてしまうからだという。すると変更に関係ない場所が、なぜそういった形、配置になっているのかを理解しないままになってしまう。流用設計は基本的に「足す」設計である。そのため、余計なものが付いていても取ることによって問題が生じるのではないか? という消極的な理由で、必要のないものを取り除く方向には進めにくくなってしまう。

単純な伸縮作業は自動化せよ

 上流から下流へのアプローチをするためには、まず日ごろやっている設計を「相似の設計」と「基本設計」に分けることだという。

 相似形の設計とは、既に基本の形があり各箇所の変形がメインとなる設計である。長さや厚さを変えたり、Rの大きさやストロークを変えたりといったものも全て相似形の設計となる。一方、基本設計は、新規のアイデアや新方式の電子部品を採用するといった、従来とは異なる新しい形状である。設計において最も価値があり、一番時間と労力を使うべき部分だ。

 「相似形の設計は、数値をどうするか考えることには価値があるものの、作図自体には価値がない。にもかかわらず設計では、価値がない伸縮作業に多くの時間が割かれている。こういった部分は自動作図にすればよい」と北山氏。こうした作業の多くは、基本的な形状を選ぶコンフィグレータと、伸縮を行う3次元CADのパラメトリック機能を使うことで実行できる。

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