ステンレスを選定した理由が「さびにくいから」って、どうなの?甚さんの「サクッと! 設計審査ドリル」(10)(3/3 ページ)

» 2015年03月27日 10時00分 公開
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次回までの宿題

 甚さんが再びステンレスに関する課題を投げかけます。


【問題10】

図3:クライアント企業における設計審査で下部構想が却下 出典:「ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ」(日刊工業新聞社刊)

 図3上は、市販されている「ファストン端子」です。身近には車の配線で多用されていました。めっき処理を含めたそのプラグとレセプタクルの断面が示されています。一方、図3下は、当事務所のクライアント企業にて、低コスト化を施した概略構想図です。ファストン端子のプラグ機能をステンレス板金の端部に持たせました。

 そして、図3下の概略構想図が設計審査で却下されました。その理由について述べてください。

良

えっ! 低コスト化案としては、良いアイデアだと思いますが?


エリ

私もそう思います。一体、何が良くないのか……。


甚

オメェらよぉ〜、少しは職人として成長しろってもんよ〜!


 少しヒントを出しましょう。

 登場して歴史の浅いステンレスが急激に使われて、何も起きないはずがありません。設計職人なら、その裏を読むべきでしょう。実は、それが原因で製品のトラブルが急激な頻度で発生しているのです。そのトラブルについては次回説明します。

 またお会いしましょう。

「甚さん」シリーズ

甚さん

大学院卒だけど実務はからっきしなメーカーの若手設計者「良君」が、町工場の猛々しいおやっさん「甚さん」にしごかれ泣かされ、「設計の神髄」を習得していくシリーズ。


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Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。




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