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» 2015年04月07日 10時00分 UPDATE

3Dプリンタの可能性を探る(7):25年間培ってきた3Dプリンティング技術を個人にも――造形品質と仕上げで差別化 (1/3)

3Dプリンティング技術を軸にビジネスを展開してきたベルギーのMaterialise(マテリアライズ)。創業25周年の節目に、同社 日本法人であるマテリアライズジャパン 代表取締役社長 ヨウ・アンセウ(Jo Anseeuw)氏に、同社の取り組みと3Dプリントサービス事業「i.materialise」の特長、他サービスとの違いについて伺った。

[八木沢篤,MONOist]

 ベルギーに本社を構えるMaterialise(マテリアライズ)をご存じだろうか。

 同社は25年前の創業当時から、アディティブマニュファクチャリング(積層造形)を専門に、3Dプリンティング関連のソフトウェアとエンジニアリングサービス(設計支援)をコアとしたビジネス展開を行っている。

 同社の顧客には、3Dプリンティング技術を活用した試作・量産を行う製造業だけでなく、医療分野も含まれている。例えば、MRIやCTで撮影した2次元の医療用画像を3Dデータ化するソフトウェアなどを提供しており、手術前のシミュレーションや教育、疾患の研究などに役立てられている。また、このような“プロ向け”の展開だけでなく、個人でモノづくりを楽しんでいる“コンシューマ向け”にも3Dプリントサービス「i.materialise」を提供している。

 ベルギー本社では、100台以上の業務用3Dプリンタが常時稼働しており、自動車のバンパーの試作から個人がデザインしたアクセサリーまで、実にさまざまなモノが出力されているのだという。

 今回、同社 日本法人であるマテリアライズジャパン 代表取締役社長 ヨウ・アンセウ(Jo Anseeuw)氏に、マテリアライズの取り組みと、i.materialiseの特長、他の3Dプリントサービスとの違いについて詳しく話を伺った。

マテリアライズジャパン 代表取締役社長 ヨウ・アンセウ(Jo Anseeuw)氏 マテリアライズジャパン 代表取締役社長 ヨウ・アンセウ(Jo Anseeuw)氏

25年間培った3Dプリンティング技術をプロだけでなく個人にも

――まず、マテリアライズについて教えてほしい。どのようなビジネスを行っている企業なのか?

アンセウ氏 マテリアライズは、25年前の創業当時から3Dプリンタを活用した工業用部品の試作を中心に、アディティブマニュファクチャリングを専門に行ってきた。長年培ってきた実績や経験を生かしたエンジニアリングサービスに加え、3Dプリンタを活用した試作・量産、そして造形物の品質管理や物流に至るあらゆるシーンで効率化を実現するソフトウェアを自社開発し、それらの提供・販売を行っている。

 会社としていくつかのビジネスユニットが存在するが、ソフトウェアの開発・販売と、3Dプリンティングするまでの設計支援を行うエンジニアリングサービスは、わが社のコアビジネスといえるだろう。エンジニアリングサービスについては、3Dプリントの強みを最大限生かし、設計者やデザイナーの頭の中のイメージをそのまま具現化できるよう製品デザインの支援を行い、デザインコンサルティングに近いこともやっている。

 われわれは、単に3Dプリンタを使ってもらうことを目的にしているのではなく、3Dプリンタでしか実現できない製品作りを支援することに力を注いでいる。3Dプリンタを活用することで、今までできなかったことができるようになる。ここがわれわれにとっての、顧客に提供できる価値だと考えている。

 またその一方で、i.materialiseのような3Dプリント出力サービスも手掛けている。現在、本家Webサイトとは別に、ローカライズされたWebサイトを個別に運営しているのが、日本とシンガポールだ。今では、世界100カ国ほどから出力依頼が来ている。出力のほとんどがベルギーで行われているが、一部は米国でも行っている。

「i.materialise」の日本語Webサイトのトップページ 「i.materialise」の日本語Webサイトのトップページ

――自社開発された3Dプリンティング関連ソフトウェアとは、具体的にどのようなものなのか?

アンセウ氏 マテリアライズでは、アディティブマニュファクチャリングにおける各工程の最適化・効率化を支援するソフトウェア製品を複数ラインアップしている。

 例えば、3Dプリントする際の最適化作業を支援する「Magics」というソフトウェアがある。これは、3Dデータの変換やエラーチェックだけでなく、データの自動修正やスライスデータの生成なども行えるものだ。また、使用材料の消費を抑えるためにサポート材の位置を調整したり、できるだけ短時間で出力できるよう最適な造形プラットフォームへの配置を行ったりもできる。

3Dプリント前に「Magics」でファイルを最適化するデザイナー 3Dプリント前に「Magics」でファイルを最適化するデザイナー ©Flanders Investment & Trade(画像提供:Materialise)

アンセウ氏 さらに、「Build Processor」というソフトウェアがある。これは、設計者が作成した3Dデータを3Dプリンタで出力する際、ハードウェア、つまり、3Dプリンタの機種ごとの違いを吸収してくれるものだ。一般的に、出力する3Dプリンタの特性などにあわせて3Dデータを作成する必要があるが、このソフトウェアがあれば、3Dプリンタの機種のことを意識せずに3Dモデリングが行える。

 また、アディティブマニュファクチャリングにおける工程の自動化を支援する「Streamics」がある。3Dプリンタを活用した製造現場では、非常に多くのデータを同時並行的に扱いながら、計画通りに各工程をきちんと管理・遂行していかなければならない。Streamicsは、3Dプリンティングを活用した業務の最適化と自動化を支援してくれるものだ。

 その他にも、医療向けの画像診断装置「Mimics Innovation Suite」というものがある。これは、MRIやCTで撮影した医療用画像を3D化してくれるもので、手術の準備や教育、研究のために使われている。日本ではまだだが、海外では既にインプラントのデザインや造形にも活用されている。

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