窓ガラスに貼り付けるだけで、夏涼しく冬暖かくなるフィルム高機能フィルム展

富士フイルムは、「第6回 高機能フィルム展」において、銀ナノ粒子技術を応用した断熱・遮熱フィルムを参考出展。窓ガラスに貼り付ければ、夏の日差しのような外部からの熱を遮熱するとともに、冬場には室内から熱を逃がさないように断熱できるという。

» 2015年04月09日 13時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 富士フイルムは、「第6回 高機能フィルム展」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)において、銀ナノ粒子技術を応用した断熱・遮熱フィルムを参考出展した。

 この断熱・遮熱フィルムは、PETフィルムの両面に銀ナノ平板粒子を含む赤外反射層が形成されている。このフィルムを窓ガラスに貼り付ければ、夏の日差しのような外部からの熱を遮熱するとともに、冬場には室内から熱を逃がさないように断熱することができる。「夏は涼しく、冬は暖かくなる」(同社の説明員)というわけだ。

(左)何も貼っていない左側の透明ケースと、断熱・遮熱フィルムを貼った右側の透明ケースの上から赤外線ランプの光を当てて、ケース内部の温度を比較している様子。左側の46.6℃に対して、右側は32.5℃になっている。(右)同じ透明ケースの中に電気ストーブの熱をファンで送り続けてケース内に手を入れてみると、左側よりも右側の方が暖かいことが分かる(クリックで拡大)

 断熱や遮熱の効果は、赤外反射層に含まれる銀ナノ平板粒子の効果によるものだ。銀ナノ粒子は「表面プラズモン共鳴(局在プラズモン吸収)」という現象によって、特定の波長の光と共鳴する特性がある。この現象が起こると、その波長の光は反射される。そして、この共鳴する光の波長は、銀ナノ粒子のサイズや形状によって制御できるのだ。

断熱・遮熱フィルムの層構成イメージ(左)と銀ナノ粒子を使った赤外反射層の電子顕微鏡写真(右) 断熱・遮熱フィルムの層構成イメージ(左)と銀ナノ粒子を使った赤外反射層の電子顕微鏡写真(右)(クリックで拡大) 出典:富士フイルム

 同社は、厚さが50〜250μmのPETフィルムの表面に近赤外線と共鳴するように制御した赤外反射層を形成。もう一方の表面は、遠赤外線と共鳴する赤外反射層を形成した。近赤外線の反射層は、夏の日差しによる暑さの主因となっている近赤外線による熱を遮断。一方、遠赤外線の反射層は、冬場の暖房の暖かさである遠赤外線を外に逃さず断熱する。

 断熱・遮熱フィルムの遮熱性能を示す遮蔽係数は0.68〜0.8。一般的に販売されている遮熱フィルムの遮蔽係数は0.8未満で、「0.7未満であれば高性能の遮熱フィルムといえる」(同説明員)という。

 断熱性能を示す熱還流率は5.0W/m2・K未満となっている。通常の窓ガラスの熱還流率が6.0W/m2・K程度なのに対して、断熱ガラスとして一般的なペアガラスが4〜5W/m2・Kである。断熱・遮熱フィルムは、断熱ガラスと同等クラスの断熱性能を有していることになる。

 なお可視光透過率は70〜80%となっている。

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