GEヘルスケアが日本発の次世代MRIを投入、3.0T機で1.5T機と同じ設置面積2015国際医用画像総合展

GEヘルスケア・ジャパンは、医療用画像診断機器の展示会「2015国際医用画像総合展(ITEM2015)」において、磁場強度が3.0TのMRI「SIGNA Pioneer」の実物大モデルを展示した。日本で開発・生産するSIGNA Pioneerは、日本をはじめグローバルのニーズを反映した製品で、1.5TのMRIからの置き換えに最適な設置面積を実現している。

» 2015年04月28日 14時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 GEヘルスケア・ジャパンは、医療用画像診断機器の展示会「2015国際医用画像総合展(ITEM2015)」(2015年4月17〜19日、パシフィコ横浜)において、磁場強度が3.0T(テスラ)のMRI(磁気共鳴断層撮影装置)「SIGNA Pioneer」の実物大モデルを展示した。

 一般的にMRIは、磁場強度が高いほど信号強度が向上し、より高精度の診断画像を撮影できる。SIGNA Pioneerは、国内の総合大型病院や地域中核病院などで、1.0T機や1.5T機からより高性能の3.0T機への置き換え需要をターゲットに開発した製品だ。

 GEヘルスケア・ジャパンは、米国本社であるGE Healthcareの日本法人だが、本社の日野市にR&D拠点と工場を構えている。SIGNA Pioneerは、MRIに対するニーズや要望について、日本やアジア、グローバルで調査した上でそれらを反映し、日本国内で開発した、同社が今後の主流と位置付ける次世代の3.0TのMRIである。

「SIGNA Pioneer」の実物大モデル 「SIGNA Pioneer」の実物大モデル(クリックで拡大)

 最大の特徴は、3.0TのMRIとして「業界最小」とする設置面積と電源容量だ。設置面積は30m2で、既存の1.5TのMRIとほぼ同じだ。電源容量は77kVAで、一般的な3.0T機の100kVA以上よりもはるかに小さい。

 MRIは、磁場強度が1.5Tから3.0Tに増えると、装置サイズが大型化し、電源容量も増大する。そうなると、MRIを設置していたシールドルームそのものを改修しなければならなくなる。SIGNA Pioneerであれば、シールドルームを改修せずに、MRIを1.5T機から3.0T機に置き換えることが可能だ。

(左)「SIGNA Pioneer」実物大モデルの外枠の線が、1.5T機の設置スペースのイメージになる。(右)従来の同社MRIのミニチュアモデル。「SIGNA Pioneer」は、これと比べて、患者テーブルの高さを低くし、横幅を広くした(クリックで拡大)

 また「MRIを使う患者が高齢な方が多い。装置の大きさに圧迫や不安を感じることもあるので、装置の小型化はそう言った意味でも必要だった」(同社の説明員)という。さらに、患者テーブルへの乗り降りを容易にするため、テーブルの高さを低くし、横幅を広くした。最低テーブル高さは52cm、テーブル内クレードル幅は56cmとなった。また装置開口部の直径を従来の60cmから70cmに拡大する「ワイドボア」も採用している。

 最新の機能も搭載されている。まずは1回のスキャンで、「T1強調画像」や「T2強調画像」をはじめとする6種類の異なるコントラスト画像を取得でき機能「MAGiC」を搭載した。これにより、MRIの撮影時間が従来の約15分から約5分と3分の1に短縮できる。

 さらに2013年9月に発表した「音のしないMRI検査」を可能とする技術「SILENT SCAN」も搭載した。従来のMRI検査では、コイルの振動などにより100dB以上の騒音が発生することがあったが、SILENT SCANでは3dB以下に抑えることが可能だという。

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