ロボット産業の立ち上げには、「ロボットのエコシステム構築」が必要だインタビュー(2/2 ページ)

» 2015年05月01日 06時00分 公開
[渡邊宏MONOist]
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ロボット産業には「ロボットのエコシステム構築」が必要だ

 前段で紹介した「実用化段階にある技術の導入加速」が実用レベルにあるロボットの社会導入を補助する取り組みであるのに対して、「ニーズに応える市場化技術開発」は3年以内の市場投入を目指す技術開発の支援、「広範囲で利用できる次世代ロボット技術開発」は2020年以降を見据えた技術開発を支援するものだ。

 いずれも技術開発支援の取り組みであるが、効果的に技術を開発できるよう、NEDOはアドバイザーとしての関与を行う他、成果のチェックも厳格化する。「ニーズに応える市場化技術開発」として、「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」の公募が2015年4月より開始されているが、この公募では「ユーザーニーズに合致したロボット開発の推進、市場投入」が目的とされ、研究開発成果を事業化(製品化)すること、エンドユーザーを研究開発体制に含めることが助成の要件として設定されている。

 また、公募期間が終了した後でも最大5年間の追跡調査が実施され、「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」であれば「どのような市場を作り出したか」などがチェックされる。単なる“ファンディングエージェンシー”ではなく、市場創造を技術面から援助する機関ならんとするNEDOならではのチェックといえるだろう。

 NEDOの自身の役割として「民間だけではリスクの高い技術の民生化」を挙げているが、ロボットについてはどのような部分が“高いリスク”に相当するのだろうか。萬木氏は食品や医薬品、化粧品など人が直接口にするものに携わるロボットについて、「民間企業が先陣を切って製品化と市場投入することは難しいかもしれない」とし、加えて、今後、「これまで人が従事していた領域にロボットを導入すること」の考察を行うこともNEDOに求められるかもしれないと述べた。

 この考察のようにモノ作りの前提整備ともいえる領域も、NEDOの担当する領域となる。

 「ロボット革命におけるNEDOの役割は、その実現のために民間だけでは入り込めない・動けない領域をサポートすることです。ロボット開発を“1台作って売っておしまい”ではなく、開発から販売、そしてサービス提供というエコシステムとして確立させなくてはなりません。この確立なしに、ロボット産業の立ち上げにはつながらないでしょう」(萬木氏)

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