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» 2015年05月28日 10時00分 UPDATE

3Dプリンティング技術最前線:コスト削減だけではない! DDMが自動車製造の制約や課題を解決する

デザイン検証や試作開発など、製造現場における3Dプリンティング技術の活用は広がりを見せており、製造業を代表する自動車産業もその例外ではない。製造プロセスの中で3Dプリンタを活用し、設計データから最終製品をダイレクトに製造する「DDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)」を提唱するストラタシスに、自動車産業における3Dプリンティング技術の最新活用事例やその効果について聞いた。

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 3Dプリンティング技術の世界的リーディングカンパニーとして知られるストラタシス(日本法人:ストラタシス・ジャパン)が、今、製造現場に向けて展開・訴求しているのが「DDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)」だ。ストラタシスが提唱するDDMとは、製造プロセスの中で3Dプリンタを活用し、3次元CADなどの設計データから最終製品をダイレクトに(直接)製造する手法のことで、従来のデザイン検証や試作開発の枠を超えた3Dプリンティング技術の活用方法として注目を集めている。

 3Dプリンタを活用した最終製品の製造という点では、近年、航空機のエンジン部品や宇宙ロケットの部品など、生産数の少ない部品製造で活用されるケースをよく見聞きするようになった。こうした航空宇宙分野での利用は、少量生産を得意とする3Dプリンタの最も分かりやすい活用事例の1つといえるだろう。

 では、その逆はどうだろうか。自動車のように桁違いに生産量の多いもので、DDMはどのようなメリットをもたらしてくれるのであろうか。ストラタシス 航空宇宙・自動車・防衛 バーティカル・ソリューション事業部 シニアディレクターのアンドリュー・ストーム氏に、自動車産業における3Dプリンティング技術の活用やその効果について聞いた。

ストラタシス 航空宇宙・自動車・防衛 バーティカル・ソリューション事業部 シニアディレクターのアンドリュー・ストーム氏 画像1 ストラタシス 航空宇宙・自動車・防衛 バーティカル・ソリューション事業部 シニアディレクターのアンドリュー・ストーム氏

DDMが自動車製造にもたらすメリットとは?

 まず、ストーム氏は「現在、自動車はフラグメンテーション(断片化)を起こしている」と指摘する。15〜20年前から比べると、今の一般顧客は自分好みの“カスタマイズされた自動車”を求める傾向が強いため、カスタマイズ部品の種類が年々増加。こうしたカスタマイズ部品の製造現場では、部品ごとに必要な治具や取り付け器具が大量にあふれかえっているという。また、部品在庫数を小さく抑えておきたいという要求もあることから、「カスタマイズ部品を必要な数だけ、柔軟にオンデマンドで製造できる体制が求められている」とストーム氏は説明する。

 DDMがもたらす効果は、ある限られた工程に限定したものではなく、自動車製造におけるさまざまな工程で力を発揮する。近い将来、あらゆる製造工程にDDMによる変革が波及することになるだろうが、現時点でも即時に具体的な効果が得られるものがある。それが、組み立て工程に必要な治具や取り付け器具製造へのDDM応用だ。

 一般的に、組み立てに必要な補助具(治具や取り付け器具)類は、工場内マシンショップで製造される。実際、現場では新しい補助具が必要と分かってからオーダーするわけだが、手に入るまでに多くの時間が費やされるという。その主たる原因は、マシンショップが大量のオーダーを抱えていることにある。そのため、補助具の製造時間そのものではなく、製造が始まるまでの待ち時間が多くを占めているという。

 こうした課題を解消するのがDDMだ。補助具の製造を従来方式からDDM方式に置き換えることで、補助具の設計データから直接3Dプリンタで必要な数を短期間でそろえることができるようになる。こうすることで、不必要な待ち時間を大幅に解消できるわけだ。ストーム氏によれば、スウェーデンのVolvo Trucksは欧州の自動車工場にストラタシスのFDM方式3Dプリンタ「Fortus」を導入して治具や取り付け器具を製造し、補助具製造に関わるコストを約60%も削減。最も効果的な例では、発注から入手できるまでの期間を90%も短縮できたという。「(補助具の製造に)DDMを導入することで得られる効果は、世界中どこの現場でもいますぐに享受できるメリットだ」(ストーム氏)。

DDMを活用して作られたVolvo Trucksの補助具(治具や取り付け器具) 画像2 DDMを活用して作られたVolvo Trucksの補助具(治具や取り付け器具)

 DDMの導入ですぐにメリットが得られる例として、ストーム氏がもう1つ挙げるのは、最終製品に使われる部品の統合だ。従来型の製造プロセスでは、製造器具(CNCマシンやプレスなど)や製造方法(射出成形や鋳造など)、費用対効果などから部品形状はさまざまな制約を受けており、これが結果として部品点数の増加につながっている。

 対して、DDMによる部品製造では、CNCマシンの能力限界を超えるような複雑に入り組んだ形状の部品でも1回で作り出すことができるため、部品点数を大幅に削減することが可能になる。ある事例では、100〜150点ほどあった部品数が、FDM方式プリンタ(Fortus)を使ったDDMの導入によって、一桁少ない15点にまで減らすことができたという。「部品点数が大きく減るということは、組み立て工程が短縮され、組み立てのための補助具類も不要になり、保管や運搬の手間も減る。これは非常に大きなコストメリットだ」とストーム氏は説明する。

 さらに、CNCマシンを使って不要な部分を切削する製造法は、「削る部分」つまり不要な部分の材料コストも余分に掛かってくるわけだが、3Dプリンタを活用したDDMであれば基本的に必要な材料コストしか掛からない。また、もっと削って軽量化できるところを、切削ビットを支えるアームの動きの制約から、削れないままにする場合もあり、昨今の自動車に求められる軽量化という点でも不利になるという。こうした課題に対し、DDMであればCAEによって最適化された設計データを、製造上の制約なしにそのまま部品として製造することができる。「こうした利点からお分かりの通り、DDMはコスト削減のみならず、これまでの製造上の制約を排除したより自由な設計を可能にするものだ」(ストーム氏)。

DDMの活用により得られるメリット 画像3 DDMの活用により得られるメリット


 自動車製造において、ストラタシスが推し進めるDDMは、いますぐに従来型の製造方法を全て置き換えるというものではないが、試作や開発、少量生産だけにとどまらない3Dプリンティング技術による大きな変革を、既に製造現場にもたらしている。

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提供:株式会社ストラタシス・ジャパン
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年6月30日

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