外部センサーを使わず原点復帰! バッテリーも不要なステッピングモーターTECHNO-FRONTIER 2015

オリエンタルモーターは「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア)2015」で、ステッピングモーターユニット「αSTEP AZシリーズ」を展示。同社独自開発のバッテリーレスな機械式センサーの搭載により、外部センサーを使わずに高精度な原点復帰を可能にしている。

» 2015年05月29日 16時00分 公開
[陰山遼将MONOist]

 オリエンタルモーターは「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア)2015」(2015年5月20〜22日、幕張メッセ)においてステッピングモーターユニット「αSTEP AZシリーズ」を展示した。モーターに同社独自開発の「ABZOセンサ」を搭載することで、外部センサーを使わずに高精度な原点復帰を可能にしているのが特徴の製品だ。

 ABZOセンサは機械式の多回転アブソリュートセンサー。4つのギアの位置をセンサーで検出して位置情報を認識する仕組みで、基準となる原点からモーター軸で±900回転(1800回転)分の絶対位置を検出できる。位置決めに必要な原点センサーやリミットセンサーを設置する必要がなくなるため、設備コストの削減につながるという。

オリエンタルモーターが展示した「αSTEP AZシリーズ」のデモンストレーション(左)。同社独自開発の「ABZOセンサ」により外部センサーを利用する場合と比較して、原点復帰までの時間を短縮できる様子が披露された(右)(クリックで拡大)

 ABZOセンサのもう1つの特徴は、バッテリーを必要としないという点だ。バッテリー交換などのメンテナンスや交換用スペースの確保が不要となるため、運用コストの削減や電装設計における自由なレイアウトが可能になるという。さらに海外に出荷する際に、バッテリーの自己放電や輸出規制を考慮する必要がなくなるというメリットもある。

 取得した位置情報は、ABZOセンサ内に記録される仕組みで、電源を落としたりドライバとの接続を解除したりしても位置情報を保持できる。外部センサーによる検知を利用して原点復帰を行う場合と比較して、復帰時間を短縮できるという。さらに位置決め機能内蔵タイプのドライバを使用する場合は、位置決め運転中に電源が遮断されたり生産ラインが非常停止したりした場合でも、原点復帰をせずに運転を再開することが可能だ。「必要な情報をドライバに持たせるため、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)の負担を軽減できるというメリットもある」(オリエンタルモーター ブース担当者)。

2015年夏ごろに販売を予定している4軸対応の新型ドライバ(クリックで拡大)

 αSTEP AZシリーズは2013年の発売以降、半導体や自動車の製造装置メーカーなどを中心に販売が進んでいるという。モーターは標準タイプに加え、4種類のギヤードタイプも用意しており、価格は6万1200円から。さらに2015年夏ごろには4軸対応の新型ドライバの発売も予定しているという。

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