未来を見つめ、過去に手厚く――AMDのEmbeddedが選ばれる理由

高信頼や長期供給などを求められる組み込み業界においてもAMD製品は存在感を増しており、今ではHMIからマシンビジョン、IoTゲートウェイなど幅広く採用されている。同社CEOの発言や最新ロードマップ、現在の製品構成などから“なぜAMDが組み込みで選ばれるのか”をひもといてみよう。

» 2015年06月15日 10時00分 公開
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 PC向けx86 CPUベンダーとしての印象が強いAMDだが、その印象は大きく変わろうとしている。それを印象づけたのが、2015年5月に米ニューヨークの証券取引所(NASDAQ)において同社の開催した投資家向け会議「2015 AMD Finacial Analyst Day」でリサ・スーCEOが示した企業戦略だ。

 会場ではハイパフォーマンスPC向けx86 CPUに導入される新アーキテクチャ「Zen」や、広帯域メモリ技術のHBM(High Bandwidth Memory)を採用するハイエンドGPUなど、多くの製品とロードマップが発表され耳目を集めたが、全製品を通じて強く主張されていたのは「効率(Performance/Watt)の高さ」である。

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 Zenアーキテクチャを採用した新CPUは既存ExcavatorコアのCPUに比べて、クロックあたりの命令実行性能(IPC:Instruction Per Clock)を40%前後高めることを可能にしており、また、他社に先駆けてHBMを採用する新GPUの消費電力あたりのパフォーマンスは現在グラフィックスカードで主流のGDDR5に比べて3倍に、消費電力は半分以下に抑えることを可能にする。

 IPCの向上や消費電力の低減といった新製品群の特徴は、そのまま組み込み機器向け製品にも反映されており、日本AMD エンベデットセールス セールスエンジニアリング担当マネージャーの岩佐英敏氏は「2020年までに、既存のAMD Rシリーズに比べて電力効率を25倍に高めた組み込み向け製品を投入する」と、近年同社が注力する組み込み機器向け製品についても、より電力効率の高い製品を投入するとしている。

 組み込み機器の領域ではその業務業態に応じてCPUにさまざまな要件が求められるが、「IoT(Internet of Things)」や「Industrial Internet」「Industry 4.0」といったビックデータの収集と活用がカギになる用例の場合、センサーから集められたデータをクラウドに送る中間に位置するゲートウェイには、高い処理能力と低消費電力性が求められる。

 AMDの組み込み機器向けプロセッサ「AMD Rシリーズ」「AMD Gシリーズ」は搭載する強力なGPUにより3D CADやHMI(Human Machine Interface)などを活用する事例やマシンビジョンに強みを発揮するが(もちろんGPUなしの製品も用意されている)、次期製品ではこうした用途に加え、より高い処理能力と低消費電力性を兼ね備えることで「IoTゲートウェイとして集約したデータの処理、さらにはHMI他における並列処理の適用などにも強みを発揮する」(岩佐氏)と、同社ならではの強みを広範囲に発揮することが予告されている。

photo AMDの組み込み製品がカバーする、産業機器の範囲は非常に広い。小型のHMI機器から産業機器向けPC、IoTゲートウェイ、測定装置、マシンビジョンサーバまでをカバーする

 Industrial Internetの中心的なプレーヤーである米GEでは既にAMD Gシリーズを搭載した製品「mCOM10-L1500」を発表しており、GE Intelligent PlatformsのCOM Express担当グローバル・プロダクト・マネージャーを務めるトミー・スウィガート氏は「インダストリアル・インターネットは世界中でビジネスを変革しています。インダストリアル・インターネットの継続的な発展は単独企業による努力や投資ではなく、むしろ企業間の連携によって実現します。当社のmCOM10-L1500は『AMD Embedded Gシリーズ』のテクノロジーによる機能性とパフォーマンス特性の組み合わせで、お客様の要求を満たす製品開発を可能にします」とのコメントを寄せている。

 AMDが組み込み向け製品において、未来に対しては性能と消費電力のバランスを追求している事を、米GEも賛同していることがお分かり頂けたかと思うが、ライフサイクルの長い組み込み機器においては過去へのサポート、つまり製品の長期供給と長期サポートも強い要望として存在する。

 供給においては「量産開始から10年間の供給」をコミットしており、ボードベンダーの在庫なども勘案すれば実質的には10年以上の供給が約束されると考えていい。サポートについても同様の長期供給体制が構築されているが、過去資産の活用という意味ではPCIやISAバスといったレガシーな技術への対応が継続されていることも注目に値する。

 実際、組み込み業界のベンダーからはレガシーインタフェースや既に新規供給が行われていないOS(サポートのみのフェーズに入っている)への対応が要望として寄せられることも多く、同社では最新製品の投入のみならず、既存製品の安定した供給も重点施策として認識し、実行しているという。

 未来を見据えた製品展開を行いつつ、「信頼性」「長期供給・長期サポート」「要求コストへの適合」といった組み込みならではの要望に応え続けるAMD。既に同社の手掛けるビジネスの40%以上が組み込み機器を含む新ビジネスとなっており、それは現在も成長中だというが、それはまさに、“過去に手厚く、未来も見つめる”企業姿勢を反映していると言えるだろう。

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年7月14日