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» 2015年06月16日 09時00分 UPDATE

クローズアップ・メガサプライヤ:自前のテストコースとISO26262対応が電動パワーステアリング開発に必要な理由 (1/2)

電動パワーステアリング(EPS)で世界トップシェアを握るジェイテクト。「上流から下流へ」向かう同社EPS事業の製品開発戦略を紹介した前編に続き、後編では同社のEPSの開発体制を取り上げる。

[朴尚洙,MONOist]

 ジェイテクトは、電動パワーステアリング(EPS)で世界シェアトップを有するメガサプライヤだ。前編では、同社が「上流から下流へ」向かおうとしているEPS事業の製品開発戦略について紹介した。

⇒前編記事「電動パワーステアリング世界トップシェアは譲らない、ジェイテクトの戦略とは」はこちら

 今回の後編では、同社におけるEPSの開発体制について紹介する。

メガサプライヤに必要なグローバル対応の研究開発体制

 現在自動車業界では、メガサプライヤと呼ばれるティア1サプライヤの存在感が大きくなっている。メガサプライヤと呼ばれる条件の1つに、世界各地の有力自動車メーカーの要求を吸い上げ、製品開発に反映できるような研究開発体制の構築がある。

 ジェイテクトの場合、EPSを手掛ける自動車事業本部のもとで国内に展開している研究・開発センターが製品開発を主導している。研究・開発センターは、EPSの生産工場に隣接する形で2カ所に分かれており、奈良(奈良県橿原市)と花園(愛知県岡崎市)にある。

 研究・開発センターで適切な製品開発を行うために、世界全域で顧客との連携を図るのがグローバルテクニカルセンターネットワークだ。北米地域をカバーするデトロイトの北米テクニカルセンター、欧州地域を担当するフランスの欧州テクニカルセンターを筆頭に、中国・上海の中国テクニカルセンター、タイのアセアンテクニカルセンター、ブラジルの南米テクニカルセンターなどがある。

ジェイテクトのグローバルテクニカルセンターネットワーク(左)と工場を含めた拠点展開の状況(右)(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト
ジェイテクトの山内健太郎氏 ジェイテクトの山内健太郎氏

 これらの中でも、欧州テクニカルセンターが果たしている役割は大きい。同社は1990年にRenault(ルノー)のステアリング子会社、2000年にはPeugeot(プジョー)のステアリング子会社に資本参加し、現在では両社とも傘下に収めている。

 ジェイテクト 技術企画部 技術企画室 第1企画グループ グループ長の山内健太郎氏は「こういった背景もあって、ルノーやプジョーといったフランスの自動車メーカーとの関係は強固だ。また、先進的な自動車技術は欧州から発信されることも多いが、欧州テクニカルセンターの存在によって早期にキャッチアップすることができている」と語る。

 日本国内については、横浜市緑区の東部テクニカルセンターが関東以東、中部テクニカルセンターが中部地区、西部テクニカルセンターがそれら以外の地区の顧客を受け持っている。なお、中部テクニカルセンターと花園の研究開発・センター、西部テクニカルセンターと奈良の研究・開発センターは、それぞれ隣接工場と同じ敷地にあり、密接に連携がとれるようになっている。

ジェイテクトの国内拠点 ジェイテクトの国内拠点(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

自動車レベルの試験結果を提案活動にフィードバック

 製品開発を行う上で重要なプロセスの1つに「試験」がある。自動車部品を手掛けるティア1サプライヤの場合、自動車メーカーに納入する車載システムそのものの動作試験はもちろん行うが、実際に自動車にその車載システムを搭載して試験まで行う企業はあまり多くない。「かつては当社も、納入先の自動車メーカーに、自動車レベルでの試験を任せることが多かった」(山内氏)という。

 しかし同社は2012年10月、三重県伊賀市に伊賀試験場を開設した。伊賀試験場は、直線1kmを含む全長2.2kmのテストコースに加え、東京ドーム2個分の広さ(5万4000m2)を持つ操舵性試験を行うためのダイナミクスパッド、気密性試験を行う冠水路、悪路条件での評価を異音・振動評価路などを備えている。山内氏は、「伊賀試験場の開設によって、自動車レベルでの試験を自社で行い、顧客である自動車メーカーへの提案活動にその結果をフィードバックできるようになった。もちろん、革新的なEPSの開発にも役立てている」と述べる。

ジェイテクトの伊賀試験場 ジェイテクトの伊賀試験場(クリックで拡大) 出典:ジェイテクト

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