“業務用”スマートグラスはこう使うFAニュース(1/2 ページ)

セイコーエプソンは同社のスマートグラス「MOVERIO」シリーズを、業務用途に特化させた新製品「MOVERIO Pro BT-2000」を発表した。製造、物流、建設など幅広い分野での活用を提案していく。

» 2015年06月24日 17時00分 公開
[陰山遼将MONOist]

 セイコーエプソン(以下、エプソン)は2015年6月23日、東京都内で会見を開き、同社のスマートグラス「MOVERIO」シリーズの新製品「MOVERIO Pro BT-2000」(以下、BT-2000)を発表した。製造、物流、建設などのさまざまな作業現場での利用に特化した業務用のスマートグラスで、2015年9月から販売を開始する。価格はオープンだが、直販サイトでは36万円前後で販売する予定だ。


エプソンが発表した「BT-2000」(クリックで拡大)

 エプソンはこれまでコンシューマー向けのスマートグラスとして「BT-100」や「BT-200」を開発してきたが、今回発表したBT-2000は同社初となるB2B向けのスマートグラスだ。ユーザーからの業務用スマートグラスを求める声に応え、BT-200をベースに工場や作業現場での利用に特化すべくさまざまな機能を強化。作業マニュアルの表示や遠隔地からの作業支援、AR(拡張現実)を使ったナビゲーションといった利用方法を想定しているという。

 コンシューマー向けのBT-200はメガネのように装着し、本体を鼻骨部分で支える仕組みだった。しかし業務用のBT-2000では、長時間の使用や安定性を考慮して頭部全体で支えるヘッドセットタイプに改良されている。ヘッドバンドを除いた外形寸法は、幅205mm×高さ136mm×奥行100mmで、重量はバッテリーを搭載した状態で365gだ。

 グラス部分は両眼ともシースルー構造となっており、表示画像と作業視野を重ね合わせながら作業を行える。通信機能としてWi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n)とBluetooth 4.0に対応しており、作業者は遠隔地のオペレーターと画像、映像、テキストなどを活用したやりとりを行える。

操作は有線接続のコントローラーで行うが、音声入力にも対応している(左)。両眼シースルータイプで、作業対象や周囲の状況を確認しながら作業できる(右)(クリックで拡大)

 ヘッドバンド部には、500万画素のステレオカメラも搭載している。これにより、目の前にある物体の深度測定や3D映像を遠隔地のオペレーターなどに送ることもできる。照度センサーも内蔵しており、作業現場の状況に合わせて画面の明るさを自動調整する機能も備えた。画面の最高輝度はBT-200の1.5倍に改良したという。さらにエプソンの独自開発のジャイロ/加速度センサー機能を備えた慣性計測ユニット(IMU)、磁気センサー、GPSを搭載しており、使用者の頭部の向きや移動速度、移動距離を高精度に測定できるという。作業現場での使用を想定して耐久性にも配慮し、IP54準拠の防沫防塵性能も備えた。

「BT-2000」の機能の概要(クリックで拡大)
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