Windows 10 IoT&ラズパイ2の「落とし穴」をよけるためにWindows 10 IoT(1/2 ページ)

Raspberry Pi 2で動作する「Windows 10 IoT Core」が提供開始されて間もなく2カ月、プレビュー版という事もあり、アプリ開発までも含めるとまだ“落とし穴”が多い。Microsoft MVPがその回避方法を伝授した。

» 2015年06月29日 17時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 今夏に登場する「Windows 10」の組み込み向け製品「Windows 10 IoT Core」、既にプレビュー版の提供が開始され、人気のボードコンピュータ「Raspberry Pi 2」などでも動作することから興味を持つ人も多い。ただし、まだプレビュー版ということもあり、情報も少なく、インストールやアプリ開発に際しての“落とし穴”も多いのが実情だ。

 マイクロソフトが同社製品やテクノロジーに関する豊富な知識と経験を持つ個人を表彰する制度「Microsoft MVP(Most Valuable Professional)」の受賞者が中心となり、2015年6月26日に開催されたイベント「第1回 Windows IoT Community Day」では、Microsoft MVP(Windows Embedded MVP)の伊藤優氏(日立超LSIシステムズ ソフト製品設計部)が「ラズパイ2でチャレンジ Windows 10 IoT アプリケーション開発」と題して、Raspberry Pi 2へのWindows 10 IoT Coreインストールとアプリケーション開発の初歩について解説した。

photo Microsoft MVP(Windows Embedded MVP)の伊藤優氏(日立超LSIシステムズ ソフト製品設計部)

インストールの落とし穴

 Windows 10 IoT CoreをRaspberry Pi 2にインストールするには、Windows 10(build 10069以上)のインストールされたPCが必要。その他にもRaspberry Pi 2用の電源、8Gバイト以上のClass10 microSDカードやHDMIケーブルなどが必要になる。インストールまでの手順はこちらの記事でも既に紹介されているが、伊藤氏はインストール時の注意として「必ずコマンドプロンプトをWindows 10のPCで操作すること」とアドバイスする。

 固定されたストレージを持たないRaspberry Pi 2にWindows 10 IoT Coreをインストールするには、MicroSDカードをRaspberry Pi 2にセットし、カードから起動することになる。その起動カードを作成するにはWindows 10のインストールされたPCにカードを差し込み、コマンドプロンプトからブートイメージを作成するのだが、コマンドプロンプトのオプションがWindows 10でしか有効ではなものが含まれているからだ。

photo  SDカードのドライブ番号が「2」である場合、コマンドプロンプトは以下になる dism.exe /Apply-Image /ImageFile:flash.ffu /ApplyDrive:\\.\PhysicalDrive2 /SkipPlatformCheck 

 Raspberry Pi 2へのインストールが完了すればプログラムの実行は可能になるが、アプリケーション開発までも視野に入れると「Visual Studio 2015」のインストールも欠かせない。なお、アプリケーション開発に際してRaspberry Pi 2と開発用PCはルータを介してのイーサネット接続が必要になる。ICS(Internet Connection Sharing)を導入すればPCとRaspberry Pi 2の間をダイレクトに接続でき、ルータは不要になる。

photo

 開発環境であるVisual Studio 2015は現在RC版が提供されており、こちらから入手できる。インストール時にはオプションで「カスタム」を選択し、「Microsoft Web Developer Tools」と「ユニバーサルWindowsアプリ開発ツール」のチェックを入れておくこと。Windows 10とVisual Studio 2015は言語設定が可能だが、伊藤氏によれば、言語は揃えておく方がトラブルを回避できるという。

 OSと開発環境に続いて、ツール群もセットアップしておく。Windows 10 IoT Coreのパッケージに含まれている「WindowsDeveloperProgramForloT.msi」を実行して「IoT Core Extension」をインストールし、次いでクラウド利用のために「Azure SDK」もインストールしておく。Azure SDKはこちらから「.NET」「VS 2015 のインストール」とたどり、「VS2015AzurePack.exe」を実行することでインストールできる。

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