第39回 IBISのPackage Model前田真一の最新実装技術あれこれ塾(4/4 ページ)

» 2015年07月22日 10時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]
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4.精度の高いモデル定義の準備

 精度が高く、定義が簡単で、内部情報の秘匿性に優れたPackage Modelの定義のため、IBIS Open Fourumでは長い間、準備をしています。信号が高速化してきたため、パッケージ内配線の特性を伝送線路として解析する必要があります。

 高速伝送回路のモデルとしては、損失のある伝送線路のモデルが必要です。また、クロストークの解析も必要となります。大型パッケージのLSI同士を接続した基板では、クロストーク・ノイズの30〜50%がパッケージ内の基板配線で発生していることも珍しくはありません。

 パッケージ内での配線は基板の配線に比べて短いですが、配線密度が高く、配線間隔が密接しています。配線レイアウトを秘匿して、配線の損失やクロストーク解析もできるモデルとしてはSパラメータと呼ばれるモデルが最適です。

 IBIS Open FouramではIBISモデルとは別に、このSパラメータの規格化を行っています。Sパラメータの標準フォーマットはTouchstone(タッチストーン)と呼ばれ、アメリカのHewlett-Packard(現在はAgilent Technologies)で規格化されました。IBIS Open Fouramでは、これをバージョンアップしたTouchstone Version2を標準化して2009年に発表しています(図24)。

図24:Touchstone Version 2

 また、IBIS Open Fouramでは終端抵抗や、カップリング・コンデンサなどと、Sパラメータを使った回路が解析できるように、回路を記述するSPICEと呼ばれる回路言語の標準化も進めています。

 これはIBIS-ISS(IBIS Interconnect SPICE Subcircuit)として、2011年に規格を発表しています(図25)。

図25:IBIS-ISS

 次のIBIS Version7では、これらの定義を使ってパッケージモデルを定義する予定です。


筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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