ZFとTRWの統合が生み出すメガサプライヤとしての真価クローズアップ・メガサプライヤ(5/6 ページ)

» 2015年09月04日 10時00分 公開
[川端由美MONOist]

自動運転へと向かう道筋

 データフュージョン技術の肝の1つに、2018年の供給開始が予定されている3眼カメラ「S-Cam 4」がある。単眼カメラと長距離検知用レンズ、近距離用魚眼レンズを組み合わせたものだ。Mobileye(モービルアイ)のイメージプロセッサ「Eye Q4」を搭載し、対象物認識アルゴリズムが縦方向/横方向の制御アルゴリズムと統合されることで、近年話題のADAS(先進運転者支援システム)や、半自動運転システムにまで活用できる。

3眼カメラ「S-Cam 4」のモックアップ 3眼カメラ「S-Cam 4」のモックアップ(クリックで拡大)

 なお、現行の「S-Cam 3」もC/Dセグメントの幅広い車種に採用されている。前世代の仕様のカメラと比べて6倍の処理能力を持つことに加えて、交通信号認識、大型動物や一般的な物体検知、夜間の歩行者検知による自動ブレーキなどの機能を実現できる。

 今回のイベントの目玉といえる半自動運転機能を搭載したOpel(オペル)「インシグニア」への同乗試乗がかなった。搭載されるセンサー類は、周波数帯域が77GHzのミリ波レーダー「AC1000」とS-Cam 3、ベルトドライブ式電動パワーステアリング「EPS BD」、ACC機能と車線逸脱警告(LCA)機能を統合した横滑り防止装置「EBC 460」となる。

半自動運転機能を搭載したOpel(オペル)「インシグニア」(左)と同社に組み込まれているミリ波レーダー「AC1000」(右)(クリックで拡大)
ベルトドライブ式電動パワーステアリング「EPS BD」(左)と横滑り防止装置「EBC 460」(右)(クリックで拡大)

 助手席に乗り込んで、アウトバーンに続く道へと進む。合流して流れに乗ったあと、ACCの設定を時速120kmにすると、粛々と巡航する。前方に速度が遅い車両があって、近づいていくと、指定の車間距離を維持すべく、自動で加減速を行って速度を調整する。車線から逸脱しないで走れるのは、フロントカメラと電動パワーステアリング(EPS)によって白線の内側を走るようにプログラムされているからだ。アウトバーンでの高速の自動運転と聞いて、同乗する前には相応の心配をしたが、危ういことはなかった。もちろん、ドライバーが自分で運転をしたいと思えば、すぐに手動運転に戻すこともできる。

 ZFでは、高速走行支援(HDA)システムと呼んでおり、時速40km以上での走行時に自動で操舵や加減速を行うことに加えて、ACCと車線中央走行支援機能により、前方車両との車間距離の維持ができる。将来に向けて、車線変更制御を可能とする車両の周囲360度の検知が可能な360度センサーシステムも開発中だ。

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