プールの“お掃除ロボ”でシェア1位! 自社製品でニッチ市場を制した下町企業の挑戦イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(2)(1/4 ページ)

自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。第2回となる今回は大阪市此花区でポンプ関連製品の販売、メンテナンス事業などを手掛ける四柳だ。

» 2015年09月18日 07時00分 公開
[松永弥生MONOist]

 自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回紹介する企業は、大阪市此花(このはな)区でポンプ関連製品の販売、メンテナンス事業などを手掛ける四柳だ。

 大手ポンプメーカーの販売代理店として1966年に創業した同社だが、自社製品としてプールや大浴場の清掃に利用する「プールクリーナー」を開発。現在同社はプールクリーナーの国内シェアトップの実績を誇っている。ニッチな市場にフォーカスし、長年にわたって自社の強みを作り上げてきた同社の取り組みを取材した。

3つの事業を柱に、長期にわたって業績を安定化

 四柳がプールクリーナーの第1号を開発したのは1968年で、現在までに累計1万台以上を販売してきたという。常に顧客の要望を吸い上げながら改良を重ねてきた結果、同社のプールクリーナーの販売シェアは国内No.1だ。

 そこでプールクリーナーを中心事業としてきたのかといえば「そうではない」と代表取締役の四柳繁氏は述べる。「あくまでも当社の主力事業はポンプです。ポンプの販売代理店として、ポンプの販売やサポートが売り上げの7〜8割を占めています。しかし、当社のような規模の会社が販売代理店だけでいたら厳しかったでしょう。そのための自社製品です」と四柳は語る。

四柳 代表取締役の四柳繁氏

 もし自社製品を持たず、ポンプの販売と施工管理だけに頼っていたら、価格競争に巻き込まれ、経営は苦しかったに違いないというのだ。四柳には現在、国内シェアNo.1のプールクリーナーと、ボーディング・ブリッジ(フェリーに乗客が乗降する際の可動式連絡橋)という2つの自社製品がある。それが、同社の強みであり、これまでの安定的な業績を支えてきた。

 四柳の創業は1966(昭和41)年。四柳社長の父である清氏が立ち上げた。大手ポンプメーカーの技術者として、オリジナルの製品を次々と開発していた清氏は、独立後、ポンプの販売・修理をする傍らで、自社製品の開発にこだわったという。

 それまでの知識とノウハウを生かして、1968年に自社製品第1号のプールクリーナーを開発し、続いて1971年にカーフェリーの乗客乗降用施設であるタラップカーを開発した。

 創業初期の四柳は、ポンプの販売と施工管理事業、プールクリーナー事業、ボーディング・ブリッジ事業が経営を支える3本柱だったわけだ。しかし自社製品事業は、どちらも順風満帆に売り上げを伸ばしてきたとは言い難いという。

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