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» 2015年09月18日 11時00分 UPDATE

MONOist CAEカレッジ リポート:見えてきた、クラウドならではの使い方やそのメリット (1/3)

自動車メーカー、CAEベンダー、クラウドベンダーのキーマンが登壇したMONOist主催のCAEカレッジ「CAE最前線〜クラウドが創る、新しい解析の形〜」。それぞれの立場からクラウドでCAEを利用する際のメリットとデメリット、また現状や新しい動きなどを紹介した。

[加藤まどみ,MONOist]

 MONOist主催のCAEカレッジ「CAE最前線〜クラウドが創る、新しい解析の形〜」が2015年8月26日に開催された。現在のCAEの現状や課題、クラウド活用やその将来性などをテーマに自動車メーカーやCAEベンダー、クラウドベンダーが登壇。それぞれの立場からクラウドでCAEを利用する際のメリットとデメリット、また現状や新しい動きなどを紹介した。ここではその中から一部を紹介する。

photo 都内で開催されたMONOist主催のCAEカレッジ「CAE最前線〜クラウドが創る、新しい解析の形〜」

 はじめに基調講演として本田技術研究所 四輪R&Dセンター デジタル開発推進室 CISBL シニアエキスパートの内田孝尚氏が登壇して「設計CAEから始まったVirtual Engineering」と題した講演を行い、同社でデジタルデータがどこまで活用されているか現状を紹介した。

photo 本田技術研究所 四輪R&Dセンター デジタル開発推進室 CISBL シニアエキスパートの内田孝尚氏

 内田氏によると、今、3次元図面のルールづくりは新しい段階に入っているという。そこではコンピュータが情報を活用するという考え方に基づき、開発・モノづくりの属性情報を図面に付加する。3次元デジタルモノづくりの新しいルール基盤として、欧米を中心に展開中だが、日本はほとんど議論に加わっていないという。この「バーチャルエンジニアリング」では、車1台分のデータを集めると、バーチャルなデジタルモックアップが完成する。後はコンピュータに計算させればさまざまな用途に利用できる。「今までの設計という考え方を越えて、バーチャルで魅力を創造することが可能になっている」と内田氏は言う。

世界共通のモノづくりができ、誰でも過程を理解できる

 例えば溶接に関する情報では、溶接の際の電流値や電流の流れる時間なども含める。この情報によって世界で同じ条件で溶接ができるようになる。属性情報を持たせたバーチャルデータは、リアルと同じになると内田氏は言う。バーチャルリアリティという言葉は、「現実そのものではないが、現実の本質や効果を有しており、現実のエッセンスを取り出したもの。実質的には本質そのもの」だという。

 バーチャルエンジニアリングの活用例として、CGでの自動車の衝突解析を示した。従来はCAEの結果を元に、CAEのエキスパートが評価を行っていた。この場合だと解析結果はエキスパートを通してしか知ることができない。一方バーチャルエンジニアリングでは、自動的にCAE結果をCGに変換する。衝突実験でも色や表面、反射などをリアルに表現できる。またその動きもリアルタイムで表現可能だ。実験と違い、不要なところを取り除いて表現することで、自動車の内部を見えるようにすることもできる。これによりCAE解析結果が「ガラス張り」になり、誰でも理解できるようになると内田氏は言う。専門家以外でもより直感的に物理量を理解できるようになるということだ。

photo CAEの結果を元にCG化された衝突解析

 バーチャルエンジニアリングでは、クラウドを利用することで、関わりのあるサプライヤをはじめとするさまざまなメンバーが関わることができる。バーチャルなので距離や時間を気にすることもない。非常に効率が高く、クリエイティビティのある環境を持てることになる。だが日本ではその教育も含め、推進展開が不十分だと感じるという。今後、産官学が連携した早急な対応を期待しているということだ。

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