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» 2015年10月20日 10時00分 UPDATE

3DCG映画の制作現場から学ぶ:日本人サーフェイサーが語る「ヒックとドラゴン」の映像進化とその制作プロセス (1/3)

オートデスク主催のユーザーカンファレンス「Autodesk University Japan 2015」において、ドリームワークス・アニメーションで活躍する日本人“サーフェイサー”山本原太郎氏が登壇。日本未公開の「ヒックとドラゴン2」の制作における取り組みと挑戦について語った。

[宮田健(dpost.jp),MONOist]

 ドリームワークス・アニメーションは、映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏、レコード会社経営のデヴィッド・ゲフィン氏、そして元ディズニーの経営者でありプロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグ氏の3人が作り出した「ドリームワークスSKG」によるアニメーション制作会社だ。

 これまで「シュレック」シリーズや「カンフー・パンダ」シリーズを大ヒットさせており、米国では人気のスタジオである。その中でもファンからの評価が高い作品に「ヒックとドラゴン」(原題:How to train your Dragon)がある。第1作目の公開は2010年。その続編も2014年に公開され、批評家などから絶賛の声が上がるも、残念ながら日本においては未公開だ。



 映画会社が集まるハリウッド、グレンデールにあるドリームワークス・アニメーションでは、3DCGによるアニメーションを、オートデスクのモデリングツール「Maya」などを用いて制作し、キャラクターたちに命を吹き込んでいる。

 本稿では「Autodesk University Japan 2015」の講演「How to Paint your Dragon ヒックとドラゴンのペイント手法」から、日本人の“サーフェイサー”、山本原太郎氏の工夫と、その意外な制作プロセスを紹介しよう。

ドリームワークス・アニメーション Surfacing Department/Surfacer 山本原太郎氏 ドリームワークス・アニメーション Surfacing Department/Surfacer 山本原太郎氏 ※画像クリックで拡大表示

サーフェイサーとは

 サーフェイサーとは、3Dモデルのテクスチャを塗ったり、シェーダーのセットアップを行ったりする“職人”のことだ。ドリームワークス・アニメーションにおける映像制作のプロセスは、「コンセプトアート」として作られたキャラクターを、モデラーが形にする作業から始まる。モデラーは両手を広げた「T-poseモデル」と呼ばれる色の付いていないグレーの人形を作り、その後、サーフェイサーが質感や色を付けていく。

 モデルにテクスチャを貼り付けること以外にも、サーフェイサーの仕事は多岐にわたる。例えば「ファーシステム」と呼ばれる、キャラクターの“毛”に関するツールの作成および利用や、その後工程となるライティングチームとのやりとり、さらにはシェーダーソフトウェアのテスト、デプロイ前のフィードバックなども彼らのチームの仕事である。これら「ビジュアルデベロップメント」の作業は「脚本から3Dへの視覚化」を担っており、その作業は映画制作工程のほとんどを占めるという。

 サーフェイサーが使う道具は、Mayaをはじめ、炎などのライティングをデザインする「Torch」「Light」、3Dペイントを行う「MARI」、そして「Photoshop」などを利用しているという。「ヒックとドラゴン2」におけるモデリングはほぼMayaを使っており、最近では「XGen」も利用しているそうだ。

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