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» 2015年10月21日 18時09分 UPDATE

ダイソンのロボット掃除機はどんな“景色”を見ているのか

ダイソン初のロボット掃除機「360 Eye」はパノラマカメラを搭載して周囲を認識し、効率的な掃除を行う。“彼”はどんな景色を見ているのか、発売前に聞いた。

[渡邊宏,MONOist]

 ダイソンが2015年10月23日より販売開始する「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」(以下、360 Eye)は同社初のロボット掃除機であり、開発に17年の時間と約53億円の費用、200人を超えるエンジニアを投入した製品だ。

 くしくも同時期にはiRobotのロボット掃除機「ルンバ」シリーズ最上位機種「ルンバ960」も販売開始されており(ルンバ960は2015年10月10日より販売開始)、両製品にはカメラなど搭載するセンサーによる自己位置推定技術「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping)の実装という共通点もある。

 360 Eyeの発売を機に来日した、同社でロボット掃除機開発に携わるマイク・オールドレッド氏(同社 ロボット工学主任)に360 Eyeに使われているテクノロジーとルンバ960との違いについて聞いた。

「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」 「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」

 360 Eyeはセンサーとして上面のパノラマカメラをはじめとした22個のセンサーを搭載しており、自己位置推定とマッピングはそれらセンサーを複合動作することによって行われる。

 この自己位置推定は赤外線センサーによる測位(三角測量)と、360度の視界を持つパノラマカメラによって検出した室内の特異点によって行われるが、室内地図の作成については完了させてから掃除開始ではなく、動きながらの作成となる。ただ、赤外線センサーとカメラによって壁までの距離と室内オブジェクトが認識され続けるため、効率のよい掃除が可能だとしている。

360 Eyeが見ている景色 360 Eyeが見ている景色

 同社は2000年頃にもカメラを搭載したロボット掃除機「DC06」を開発しているが、70個以上にも及んだという搭載センサーを含めてコスト低減が難しく、市販化には及ばなかった。高解像度カメラユニットの低価格化や画像処理に関するハード/ソフト両面に及ぶ技術の進歩、もちろん研究を継続した同社の努力もあり、10年越しの夢を結実させたともいえる。

 ルンバ960もカメラを利用したSLAMを実装するが、製品発表時の説明員によればカメラの画像認識は主にエンコーダ/フロアトラッキングセンサーによる位置推定の誤差補正に利用されているとのことで、同じカメラ搭載のSLAM実装ロボット掃除機であっても、自己位置推定については微妙に異なるアプローチでの実現を図っていることが分かる。

 自己位置推定を備えたロボット掃除機としてルンバ960と違いを問われたオールドレッド氏は“掃除機としてのパフォーマンスはもちろん”と前置きした上で、「掃除の仕方」を挙げる。「360 Eyeは開始地点から四角のエリアを中心から外へ、渦巻くように動くために動きに無駄がない」(オールドレッド氏)

360 Eyeの動き方について説明する英ダイソン マイク・オールドレッド氏 360 Eyeの動き方について説明する英ダイソン マイク・オールドレッド氏

 オールドレッド氏はロボット工学の博士号を持つエンジニアだが、ロボット掃除機は「第一に掃除機だ」とユーザーニーズに沿った製品化が最も重要だと力説する。Eye 360についても、中核パーツはカメラでもセンサーでもなく、ゴミを吸い込むための新開発モーターだという。また、Eye 360はスマートフォンアプリからの操作やモニタリングにも対応するが、ホームオートメーションシステムの連携といった他製品/サービスとの連携――いわゆるIoT的な対応――には慎重な姿勢を示す。

 「接続性(connectability)は重要な要素だと考えているが、現在、接続性をうたう製品の大半は利用者の求めるメリットをその接続性によって示していないように思える。大切なのはユーザーメリットをきちんと提供することだ」(オールドレッド氏)

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