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» 2015年10月23日 11時00分 UPDATE

海外医療技術トレンド(5):米国が強化を進める手術ロボットの安全対策 (1/3)

ロボット産業振興策の成長分野として期待される医療。手術ロボットの事業化で先行する米国では、規制当局が市販後安全対策の監視体制の強化に乗り出している。

[笹原英司,MONOist]

医療機器市場で注目されるロボット支援手術機器

 世界の医療機器業界では、診断系機器のコモディディ化が進行する一方、治療系機器のイノベーションで付加価値を創出しようという取り組みが広がっている。治療支援系の手術ロボットも今後高成長が見込まれる分野として期待されている。

 米国食品医薬品局(FDA)は、手術計画立案、手術ナビゲーション、外科手技遂行支援などで利用されるコンピューター支援手術システム(Computer-Assisted Surgical Systems)の代表的な例として、ロボット支援手術(RAS:Robotically-Assisted Surgical)機器を位置付けている(関連情報)。RAS機器によって、コンピューターやソフトウェアの技術を利用し、人体に対する侵襲を最小限にしながら、複雑な手術手技のために手術機器を制御し、移動させることが可能となった。

 通常、RAS機器には以下のようなコンポーネントが含まれる。

  • コンソール:機器の制御センターで、外科医が3D内視鏡を通して手術部位を見ながら、手術機器の移動を制御することができる
  • ベッドサイドカート:手技の間、外科医が制御する3つないし4つの機械的アーム、カメラ(内視鏡)、手術機器などから構成される
  • 分離カート:電気手術ユニット(ESU)、吸引/注水ポンプ、内視鏡用光源など、支援用ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントから構成される

 RAS機器の代表例は、日本でも広く導入されている「da Vinci(ダヴィンチ)」だ。RAS機器はロボット手術で取り上げられることが多いが、人間の制御なしに直接手術を遂行することはできないので、本来の意味の「ロボット」には該当しない。

 FDAは、手術室の環境にいる訓練を受けた医師が、心臓系、大腸直腸、婦人科系、頭頸部、胸部、泌尿器系などの腹腔鏡下手術手技や、胆嚢摘出、子宮摘出、前立腺摘除を遂行する際に使用するRAS機器を、「管理医療機器(クラスII)」に該当する医療機器として、規制の対象にしている。参考までに、図1はFDAのRAS機器への対応に関わる意思決定プロセスを例示したものである。

図1 図1 FDAのRAS機器に関わる意思決定プロセス(例)(クリックで拡大) 出典:FDA「Robotically-Assisted Surgical Devices (RASD):An FDA Perspective」(2015年7月)

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