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» 2015年10月27日 09時00分 UPDATE

車載ソフトウェア:車載情報機器のソフト基盤がイーサネットAVB対応、2018年までに5000万台が採用

Mentor Graphicsは、車載情報機器をはじめデジタルメーターや先進運転支援システムなどに適用可能な車載ソフトウェアプラットフォーム「Mentor Automotive Connected OS」を発表した。車載イーサネットとして知られるイーサネットAVBへの対応を最大の特徴とする。

[朴尚洙,MONOist]

 Mentor Graphics(以下、メンター)は2015年10月27日、車載情報機器やデジタルメーター、先進運転支援システムなどに適用可能な車載ソフトウェアプラットフォーム「Mentor Automotive Connected OS(以下、Connected OS)」を発表した。

「Connected OS」のイメージ 「Connected OS」のイメージ 出典:Mentor Graphics
メンターのAnil Khanna氏 メンターのAnil Khanna氏

 東京都内で開催された会見には、同社のEmbedded Systems Divison Automotive Business Unitでシニアプロダクトマーケティングマネジャーを務めるAnil Khanna氏が登壇した。Khanna氏は、「Connected OSは、スマートフォンやタブレット端末といったコンシューマデバイスと車載情報機器をつなげる中心的な役割を果たすソフトウェアプラットフォームになる。中でも重要なのがEthernet AVB(イーサネットAVB)に対応している点だ」と語る。

 イーサネットAVBは、もともと家庭内における音楽や映像の配信をイーサネットで行うための規格として標準化が進んでいた。しかし現在は、車載ネットワークとしての利用が進展しており車載イーサネットと呼ばれることも多い。例えば、BMWやJaguar Land Rover(ジャガーランドローバー)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)が、車両の前後左右に設置した車載カメラの映像を用いて車両周辺の状態を映し出すサラウンドビューシステムなどに採用している事例がある。

 Connected OSは、このイーサネットAVBを用いた映像や音声の伝送に対応したミドルウェアやドライバなどを用意している。具体的には、ソフトウェアプラットフォームの下層に、車載システムで求められる高速起動を行うためのIBC(Initial Boot Code)やLinuxカーネル、各種ドライバがあり、それらの上層に音声を扱う「Automotive Audio」や映像を扱う「Automotive Visuals」といったミドルウェアがくる構成になっている。また、これらマルチメディア系以外のミドルウェアについては、車載情報機器の標準化団体であるGENIVIアライアンスの規格に準拠したものが提供される。

「Connected OS」の構成 「Connected OS」の構成。併せて「XStrace」や「Sourcery CodeBench」といったツールも提供する(クリックで拡大) 出典:Mentor Graphics

2018年までに5000万台の車載情報機器が採用見込み

 Khanna氏によれば、Connected OSは、既に車載情報機器向けのLinuxプラットフォームとしてトップの地位を占めているという。2018年までに、5000万台の車載情報機器に採用される見込みだ。

 もともとConnected OSは、メンターが2014年7月に買収したドイツのXS Embedded(XSe)のソリューションがベースになっている。今回のConnected OSとしての発表では、主に映像や音声といったマルチメディア関連におけるイーサネットAVBへの対応が図られた。現在、車載情報機器へのLinuxとイーサネットAVBの採用が急速に進んでおり、Connected OSでその需要を確保したい考えだ。

 なおメンターは、XSeの買収以前は、組み込みLinuxプラットフォームである「Mentor Embedded Linux」を車載情報機器向けにも展開していた。しかし今後は、車載情報機器向けがConnected OS、産業機器向けがMentor Embedded Linuxというすみ分けを進めることになる。

評価ボード「AXSB」を提供

 Connected OSの取り組みで興味深いのは、ソフトウェアプラットフォームベンダー自身が評価ボードを提供している点だ。一般的に評価ボードは、その中核を成すプロセッサベンダーが開発/販売することが多い。ソフトウェアプラットフォームベンダーは協力する立場だ。

 Connected OSが用意している評価ボードは「AXSB」である。プロセッサは、ARMの「Cortex A-15」をデュアルコアで備えるTexas Instrumentsの「Jacinto 6」で、この他にCANネットワーク関連の制御マイコンとしてルネサス エレクトロニクスの「V850E2FG4」を搭載している。接続端子は、イーサネットAVBに使えるイーサネットインタフェースだけでなく、CAN、アナログビデオ、USB2.0/3.0、SDカード、シリアルATA、HDMI、LVDSなどをそろえており、車載情報機器を開発するのに必要なものが一通り網羅されている。

「AXSB」を使った「Connected OS」のデモ「AXSB」を使った「Connected OS」のデモ 「AXSB」を使った「Connected OS」のデモ。(左)CANインタフェースに接続したスイッチと連動した情報(タイヤ空気圧)が、車載情報機器をイメージしたディスプレイに表示されている。(右)イーサネットAVBを介して、ヘッドユニットと後席ディスプレイに、フルHD映像コンテンツを同期して表示するデモ(クリックで拡大)

 AXSBは利用できるOSがLinuxだけにとどまらない。メンターがVolcanoブランドで提供しているAUTOSAR OS「VSTAR」を制御マイコンのV850E2FG4に組み込み可能であり、さらにデジタルメーターなどに最適なリアルタイムOS「Nucleus」をJacinto 6の2個のプロセッサコアの一方に組み込んだりすることもできる。「さまざまな機能を持つ車載情報機器の開発期間を短縮できるソリューションだ」(Khanna氏)という。

 もちろんAXSBだけでなく、車載情報機器向けプロセッサの主要ベンダーが提供する評価ボードに最適化した形でのConnected OSの提供も行っている。Khanna氏は、ルネサスの「R-Car H2」を搭載する「Lagerボード」などを例に挙げた。

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