「図面から加工方法を察してみよう」の巻ママさん設計者がやさしく教える「図面の読み描き超入門」(4)(2/3 ページ)

» 2015年11月06日 10時00分 公開

工作機械と加工方法について

 さて少しさかのぼって、もう一度、宿題の図面を振り返ってみましょう。この軸とブロックですが、実はそれぞれ別の工作機械で作られます。

 軸を加工する機械が「旋盤」です(図7)。

軸を加工する「旋盤」 図7 軸を加工する「旋盤」 ※画像クリックで拡大表示

 これは高速回転させた材料に工具を当て、形を削り出していく機械で、円筒状や円盤状といった“丸いものを作るとき”に使います。

 そして、ブロックを加工する機械が「フライス盤」です(図8)。

ブロックを加工する「フライス盤」 図8 ブロックを加工する「フライス盤」 ※画像クリックで拡大表示

 フライス盤は、固定された材料へ高速回転する工具を当てて形を削り出していく機械です。フライス盤は、“板状やブロック状のものを作るとき”に使います。つまり、宿題の図面のうち、軸は旋盤加工品、ブロックはフライス盤加工品となります。どちらの機械も手動とコンピュータ制御のタイプがあり、後者では、手動の機械よりも複雑な形状を削り出すことができます。

 旋盤加工、フライス盤加工はいずれも「切削加工」ですが、それに加えて、薄手の金属板を切って折り曲げたり、溶接したりして部品を製作する「精密板金加工」(図9)という加工方法もあります。おおむねこの3種類が部品加工の代表的な方法として知られています。

精密板金部品の例 図9 精密板金部品の例 ※画像クリックで拡大表示

 また、大量生産に適した加工方法としては、金型を使った「プレス加工」や「射出成形」「鋳造」などがあります

 ところで、「図面を読んだり描いたりするのに、どうして工作機械や加工方法のことまで知る必要があるの?」と思われるかもしれません。

 実は、図面上の部品がどのような機械で作られるのかを知っておくと、図面を見たときに「この部品を加工できる設備は社内にあるのか? 社外に加工依頼しなければならないのか?」の見当がつくようになるからです。

 そして、実際に社内設備を使おうとした場合、図面上に示されている寸法公差や幾何公差などの要求項目が問題なく実現できるかを、加工者と打ち合わせることになります。この現場での打ち合わせの積み重ねが自らの加工知識となって、やがて図面を描く際に役立つことになるのです。

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