10年ぶりにインバータの新ラインアップ、制御性能を向上しIoTに対応FAニュース(1/2 ページ)

安川電機は、10年ぶりの発売となるインバータの新ラインアップを発表した他、インバータ事業の戦略について説明した。

» 2015年11月12日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 安川電機は2015年11月11日、10年ぶりの発売となるインバータの新ラインアップを発表した他、インバータ事業の戦略について説明した。

photo 安川電機 執行役員 インバータ事業部長の善家充彦氏

 インバータは、モーターとの組み合わせで使用し、周波数や電圧を可変できることから、最終製品の機能性改善や省エネが実現できるというものだ。しかし、現状では「世界の電力消費量の46%がモーターで消費されているにも関わらず、全世界でいえばモーターに対するインバータの使用率は20%以下。今後エネルギーや環境問題などを考えると省エネ化が必須となる中、残された市場は大きいと考えている」と安川電機 執行役員 インバータ事業部長の善家充彦氏は述べる。


高効率モーター規制に必須のインバータ

 規制面でもモーターに対する省エネ化を迫る動きは広がりを見せている。2015年4月から日本でもIE3(プレミアム高効率モーター)相当を求めるトップランナー規制が開始。将来を見れば、さらに高効率なモーターへと規制が強まっていく流れが見えている。これらの高効率モーターを実現するためにはインバータの存在が重要になる。

 例えば、IE2(高効率モーター)相当の誘導モーターでも欧州ではインバータ駆動が必須となっている他、IE3相当プレミアム高効率モーターでは、永久磁石同期モーターや同期リラクタンスモーターでインバータが必要となる。さらに今後規制強化が進んだ際に求められるIE4(スーパープレミアム高効率モーター)で使われるモーターにはインバーターが必須だ。

photo 高効率モーターとインバータの採用状況(クリックで拡大)※出典:安川電機

 これらの状況からインバータ市場は拡大を続ける見込みだ。安川電機では今後5年にかけて3〜5%の成長を続ける見込みを示す。その中で安川電機は順調な販売拡大を進めている。同社は1974年にインバータ製品を初めて製品化して以降、順調に普及を進め2014年には累計出荷台数2000万台を達成。同社は欧州や米州、中国、アジア、日本とほぼ全ての地域で一定規模のシェアを獲得している。

 「どの地域でも、シェア的には2〜3番手となっており、世界中の機械メーカーと取引がある。グローバルでのニーズを最先端の技術で実現できるのが当社の強みだ」と善家氏は述べている。

 また、同社のインバータは現在、エレベーターやクレーン市場で高いシェアを確保しているが、今後はこれらの用途に加えて、ビル空調や一般機械、繊維、ゴム・プラスチック、冷却関連産業での用途を拡大していく方針。これらの新しい市場拡大の切り札となるのがインバータの新シリーズ「ゼロシリーズ」である。

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