インダストリアルインターネットコンソーシアムが目指すもの製造業IoT(2/4 ページ)

» 2015年11月24日 13時00分 公開
[三島一孝MONOist]

会員面、技術面それぞれのオープンさが特徴

 IICの日本代表を務める吉野晃生氏は、IICの活動の特徴の1つとして「オープンさ」を挙げる。

photo IICの日本代表を務める吉野晃生氏

 「IICの活動は、オープンであるということが全ての基本となっている。メンバーについても幅広く門戸を開いている他、技術についても基本的には国際標準化されたものを使う方針だ。今はない標準などについてはIIC内で新たに作成する動きも必要になるなるが、できた成果物に対しては、基本的には国際標準化団体にわたすという方針で活動している」と吉野氏は述べている。

 IICの参加メンバーについては現在3つの軸で拡大。「1つ目が大手企業、2つ目が中小企業、3つ目が大学などの非企業だ。IoTをさまざまな産業に実装していくためには、中小企業の参加と活性化が重要だと考えており、大手企業とベンチャーなどの中小企業の連携が新たな世界を切り開くと考えている。米国ではベンチャー企業などの参加も多いが、日本からは大手企業の参加ばかりで中小企業の参加はないのが残念だ」と吉野氏は語る。

インダストリアルインターネットとインダストリー4.0の違い

 IoTの活用を推進する団体活動として、インダストリー4.0とインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)の取り組みは似たものだと捉えられる場合も多いが、吉野氏は「同じ要素は含まれるが、全く同じというわけではない」と語る。

 「インダストリー4.0は現状では、製造業の生産性革新への取り組みが軸となっている。IICでのスマートファクトリーの取り組みは、このインダストリー4.0の取り組みとほぼ同じ方向性での取り組みだ。しかし、IICがカバーする範囲というのはもっと広く、幅広い産業を視野に含む他、IoTによる新たなビジネス創出なども活動の中心の1つとなっている。より広い範囲の活動を行っているのがIICといえる」と吉野氏は違いについて説明する。

photo インダストリー4.0とインダストリアルインターネットコンソーシアムの比較 出典:IIC

 ただ、一方でSAPやシーメンスなど、インダストリー4.0の中核企業などのIICへの参加も進んでいる。吉野氏は「IICはオープンなので、特に米国だけに利点があるようなことを目指してはいない。IICのドイツ支部も設立した。ともにIoTの新たな活用の成功事例を作り、新しいビジネスの世界を開くことを目指す」と述べている。

IICの日本支部も2015年末〜2016年初に設立?

 IICドイツ支部に加えて、今後もIoTを使った新たな産業の担い手となる可能性がある国には支部の設立を進め、拡大を進めていく方針だ。「米国以外の期待国としては、ドイツの他、日本、中国、インドが挙げられている。これらの国ではより多くの企業の参加を促すため、支部を設立する方針だ」と吉野氏は述べている。

 また、日本支部の設立については「近い将来に支部を設立する。2015年末か2016年初頭には発表できるだろう」(吉野氏)としている。

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