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» 2015年11月26日 13時00分 UPDATE

産業用ロボット:“人との協調ロボット”を突破口に、ロボット活用の場拡大を狙うKUKA (1/2)

インダストリー4.0など製造革新の動きが進む中、製造現場で人の存在は必要なくなるのか――。こうした動きの一方で今、注目を集めているのが「人と協調して働けるロボット」である。KUKAロボティクスジャパンでは、人との協調ロボットを基軸に日本市場での産業用ロボットの新たな活用を訴えている。

[三島一孝,MONOist]

人との協調して働くロボット

 産業用ロボットに従来求められてきたのは、“人の作業を置き替え、自動化すること”であった。しかし、インダストリー4.0などICTやロボティクスの発展により、生産現場の自律化への動きが高まり、「人と協調して働くロボット」への注目度が高まっている。

 “人との協調ロボット”に注目が集まる要因の1つに規制緩和の動きもある。もともと産業用ロボットは「決まった動作を高速・高精度で行う」ということを主目的に開発されてきたため、その動作の範囲内に人間が入ると、そのままの動作で衝突し、危害を受ける可能性があった。そのため、産業用ロボットは安全性の問題から、「周辺に柵を設けて人間が立ち入れないようにしなければならない」など、安全規制が設けられている。

 しかし、安全関連技術が発展した他、柔軟性の高い工場を実現するには、人とロボットが共同で作業し、それぞれを支え合いながら生産を行うことが求められている。これらの流れの中で各国でも規制を緩和する動きが生まれてきており、日本でも2013年12月に規制が緩和され、安全性を確保できる何らかの処置が行われたロボットに対しては、人間と共同作業を行うことなどが可能となっている。

安全機能を持つ「LBR iiwa」

 これらの動きを背景に、“人との協調ロボット”を強く打ち出し、存在感向上を狙うのがKUKAロボティクスジャパンである。同社はドイツのFA大手KUKAのロボット部門の日本法人である。KUKAは世界的な産業用ロボットの大手企業であるが、多くの産業用ロボットメーカーが存在する日本市場については、ニッチ市場では主導権を持つものの、大きな存在感を示せていない状況が続いていた。

 この突破口として考えているのが“人との協調ロボット”である。KUKAでは、人間と同じワークスペースで利用できる安全機能を備えた産業用ロボット「LBR iiwa」をグローバルで展開している。

photo 人と協調して働くことができる「LBR iiwa」。ドイツの展示会ハノーバーメッセでは、ビールを注ぐデモなども行われた

 LBRはドイツ語で「軽量構造ロボット」(Leichtbauroboter)を意味し、iiwaは「人工知能を搭載した産業用作業アシスタント」(intelligent industrial work assistant)の頭文字を取ったものだという。最大可搬重量は7kgのモデルと14kgのものが存在し、軸数は7軸、最大作業領域は800〜820mmとなっている。重さは14kgのモデルが29.9kg、7kgのモデルが23.9kgと軽量だ。さらに人が当たった時や触った時にストップする安全機構を採用しており、人と同じ場所での作業が行える。

 さらに、この軽量さを生かし、可搬部分を組み合わせて移動可能としたものが、「KUKA Mobile Robotics iiwa」だ。人が同ロボットを連れて歩くことで、人が負担になる作業だけをロボットに任せ、人がやった方がいい作業は人がやるというような現場での働き方が可能になる。

photo 「LBR iiwa」に走行機能を加えたKUKA Mobile Robotics iiwa。プログラムをすれば、自ら移動して部品を運ぶことなどが可能

 KUKAロボティクスジャパンでは、これらの“人との協調ロボット”の提案により、製造現場の新たな姿を提案していく方針だという。次ページからは、日本市場での取り組みについて、KUKAロボティクスジャパン代表取締役社長の星野泰宏氏へのインタビューの内容を紹介する。

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