統計の食わず嫌いを直そう(その8)、統計的に「王様の耳はロバの耳」と言うために山浦恒央の“くみこみ”な話(80)(2/4 ページ)

» 2015年12月01日 07時00分 公開

2.1.1 μ1≠μ2の場合(両側検定)

 両側検定と呼び、両者の母平均の「差が有り」という意味です。お題の立て方はそれぞれでしょうが、例を示します。

  • 東京都と大阪府の牛丼屋の商品価格を比較したい

 帰無仮説:商品価格に差がない、対立仮説:商品価格に差がある

  • 王様の耳と一般国民の耳を比較したい

 帰無仮説:耳の長さに差がない、対立仮説:耳の長さに差がある

  • 開発支援ツールの導入効果を検討したい

 帰無仮説:開発支援ツール導入効果なし、対立仮説:開発支援ツール導入効果あり

  • テスト前対策講座の教育効果を検討したい

 帰無仮説:教育効果無し、対立仮説:教育効果あり

2.1.2 μ1>μ2の場合(右片側検定)

 右片側検定と呼び、「μ1の母平均がμ2よりも大きい」ことを証明したい場合に使います。例えば、次の場合です。

  • 東京都と大阪府の牛丼屋の商品価格を比較し、東京都の方が高いことを確かめたい

 帰無仮説:東京都大阪の牛丼の価格に差がない、対立仮説:東京の方が高い

  • 王様の耳は、一般国民の耳より長いことを確かめたい

 帰無仮説:耳の長さに差がない、対立仮説:王様の耳の方が長い

2.1.3 μ1 <μ2の場合(左片側検定)

 左側検定と呼び、「μ2の母平均がμ1よりも大きい」ことを証明したい場合に使います。2.1.2の逆パターンと考えればよいでしょう。例を示します。

  • スーパーマーケットA店、B店で、B店の方の価格が高いことを検証したい場合

 帰無仮説:A,B店の商品価格に差がない、対立仮説:A店の方が安い

  • プロセス改善により、改善後に生産性が向上するか検証したい(改善前:プロジェクトA、改善後:プロジェクトB)

 帰無仮説:プロセス改善により生産性に変化なし、対立仮説:プロセス改善により生産性が上昇する。

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