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» 2015年12月04日 06時00分 UPDATE

2015国際ロボット展:コメ農家の悩み“稲の倒伏”を軽減、井関のICT農機は2つのセンサーを搭載

井関農機は、「2015国際ロボット展」において、土壌センサーなどを使って圃場内における施肥量を適正に制御できる可変施肥田植機を展示した。施肥量が多すぎて生育した稲が倒れてしまい、コメの品質や食味、収穫量などに影響を及ぼす“稲の倒伏”を軽減できる。2016年3月に発売する予定だ。

[朴尚洙,MONOist]

 井関農機は、「2015国際ロボット展」(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)において、土壌センサーなどを使って圃場内における施肥量を適正に制御できる可変施肥田植機を展示した。施肥量が多すぎて生育した稲が倒れてしまい、コメの品質や食味、収穫量などに影響を及ぼす“稲の倒伏”を軽減できる。2016年3月に発売する予定だ。

井関農機の可変施肥田植機 井関農機の可変施肥田植機(クリックで拡大)

 収穫時に稲が倒れていると、コンバインを使った収穫作業の時間が大幅に増加してしまう。状況によってはコンバインの故障の原因にもなりかねない。また、倒れた稲を収穫したとしても、その稲から取れるコメの品質や食味が悪くなることも知られている。

 この稲が倒れてしまう倒伏にはさまざまな原因があるが、その1つに適正量よりも多くの施肥を行う“多肥”がある。だが、水田の全面に同じ量の施肥を行えば、適正量になるわけではない。稲を植えられるように耕された作土層の深さ(作土深)や、もともとの土壌肥沃度(SFV)に合わせて、施肥を行う必要があるのだ。

稲の倒伏は適正な施肥によって軽減できる 稲の倒伏は適正な施肥によって軽減できる(クリックで拡大) 出典:井関農機

 井関農機の可変施肥田植機は、2種類のセンサーを搭載しており、施肥の基準になる作土深とSFVを測定できる。作土深は、田植機の前方部、左右の補助苗枠の下に設置したセンサーで測定した田面(作土層の表面)までの距離と、センサーから作土層の底面、耕されていない硬い土に接している田植機の車輪までの距離を比較して算出する。

 一方、SFVの測定は、田植機の車輪の内側に設置した電極を用いる。作土層に入り込んでいる田植機の車輪の間を流れる電流を測定し、その値を基にSFVを産出する。

可変施肥田植機の2種類のセンサーの仕組み 可変施肥田植機の2種類のセンサーの仕組み(クリックで拡大) 出典:井関農機

 これら2つのセンサーで測定したデータは、田植機後部のコントローラに送られ、田植え作業と同時に最適な施肥量に制御する。GPSも搭載しているので、圃場内の位置情報と測定データや施肥量などを連携させられる。

 またBluetoothで通信連携できる専用のタブレット端末を使えば、基本施肥量、比重、減肥率などを設定したり、圃場内における施肥の状態が一目で分かる施肥マップなどを利用したりできる。

可変施肥田植機とタブレット端末による連携のイメージ 可変施肥田植機とタブレット端末による連携のイメージ(クリックで拡大) 出典:井関農機

 「ICTを活用した農機はいろいろあるが、この可変施肥田植機は、センサーを搭載する田植機とBluetoothで通信連携する専用タブレット端末だけでICTのシステムが完結する。ICT農機の提案では、1つのメーカーのさまざまな農機をバックエンドのICTを利用して連携させるものが多い。しかし実際の現場では、さまざまなメーカーの農機を使うのが一般的だ。この可変施肥田植機は、ほぼ単独でICT農機を実現している点も特徴になっている」(井関農機の説明員)という。

 なお、可変施肥田植機は、復興庁と農林水産省が実施する「食糧生産地域再生のための先端技術展開事業」の一環として、井関農機と石川県農林総合研究センターが共同研究を行い、開発したものだ。

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