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» 2015年12月17日 11時00分 UPDATE

“これからのエンジニア”の働き方(2):イノベーターに求められる2つの力とは (1/2)

第1回ではなぜ日本人がイノベーションを起こせないのかについて私の考えを紹介しました。ずっと身についてきた国民性をすぐに変えることなど不可能。であれば、その特性をよく理解して、意識的に打破すればいいのです。第2回となる今回では、イノベーターに「必要な力」についてご説明したいと思います。

[桑山和彦(株式会社VSN VIエキスパート ),MONOist]

 イノベーターに必要な力は大きく2つあります。1つが「論理的思考力」、そしてもう1つが「コミュニケーション力」だと私は考えています。

 これからお話しする内容の前提は、「個人」ではなく、「組織」でイノベーションを起こすことです。今年話題となったノーベル賞の受賞など、個々でイノベーティブな成果を残す人は実は日本人にも多くいます。

 第1回で触れた、日本人特有の「イノベーションを起こせない」国民性は、組織においてかなり強く発揮されてしまうのです。それを無理やり打破するのが、上記の2つの力です。では、なぜ2つの力が必要なのかを、ご説明します。

先例や古い慣習を論理的思考で“無視”する

 イノベーションを妨げる日本人の特性に、「過去の実績を重視する」という点を挙げました。変なしきたりや前例、もしくは先輩や上司などの存在を必要以上に気にしてしまいます。そして、それらに対して自覚症状があるはずです。

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 客観的な事実を元に論理的結論を導き出せば、しきたりの意味の無さや、上司の指示の誤りに気付きます。気付いて放っておいたら共犯者です。事実を根拠に、しっかりと進言、判断しましょう。事実の前には、社歴も役職もありません。

 ただ、アクションを起こしても聞き入れられないことも多々あるでしょう。根拠のない、非論理的な非難を浴びることもあるかもしれません。そんなときは、論理的思考を心のよりどころにしてください。あなたは正しいことをしたのです。そしてこれをもってでしか、“日本人的思考”には太刀打ちできないんだ! と自分に言い聞かせましょう。

論理的思考で「ひらめき」を生み出す

 イノベーション、そう聞くとものすごくイマジネーション豊かな人が何かをきっかけに斬新なアイデアを生み出して……なんていうことを思い浮かべる人も多いかもしれません。確かに「論理」なんてものはなんのその、私たちが見えてない世界から全く新しいものを思いついてしまうような人もいるかもしれません。しかしそんな人はほんの一握りでしょう。

 ではイノベーションは、その「ほんの一握り」の才能の持ち主だけに許されるものなのでしょうか。そうではありません。実はこの「論理的思考」によって自身の考えの幅を広げることも可能なのです。何か今までにないインパクトのあるアクションや解決策などを導き出したいテーマがあれば、そのテーマを構成する重要なことを、論理的に整然と分解していくことで、「あれもある」「この発想が無かった」と、発想のすそ野を広げて考えられるようになるのです。

 例えば、孫へのプレゼントを考えるおじいさんがいたとします。絵本にしようか、オルゴールにしようか……と考えていますが、なかなかアイデアが浮かびません。

 そこに論理的思考をプラスします。それぞれのアイデアの上位概念を考えてみるのです。「絵本」は「見て楽しむ」もの。「オルゴール」は「聴いて楽しむもの」。するとそこに「五感」というフレームワークが出てきます。「見る」「聴く」の他に、「触る」「味わう」「嗅ぐ」などのカテゴリーがプラスされ、それぞれから「ふわふわのぬいぐるみ」「外国産のお菓子」「アロマスティック」(少し大人ですね)などのアイデアが新たに生まれます。

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 少し極端な例かもしれませんが、自分が知り得るものをまとめ、その上位概念を整理し、そこから横に広げ……と論理的に組み立てていくのは、自身の考えの幅を強制突破する1つの重要な方法です。

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